脱サイロ化!ERPと周辺システムのデータ統合で実現するDX推進の完全ガイド

 クラウドERP導入ガイド編集部

部門ごとにシステムが独立し、データが分散する「サイロ化」に悩んでいませんか。企業がDXを推進し、激しい市場競争を勝ち抜くためには、ERP(統合基幹業務システム)と周辺システムのデータ統合が不可欠です。本記事では、データ統合が求められる背景から、具体的な連携手法、成功に向けたステップまでを網羅的に解説します。

この記事で分かること

  • データサイロ化が引き起こす経営課題とERPの真の価値
  • ERPと周辺システムのデータ統合がもたらすDX推進の具体例
  • データ統合を成功に導くための実践的な導入ステップ
  • ERP導入時に陥りやすい失敗例とその具体的な対策

結論として、自社の課題を正確に把握し、スモールスタートで段階的にデータ基盤を構築していくことが、システム肥大化を防ぎ、全社最適化を実現する最短ルートとなります。データ統合によるリアルタイムな経営判断と生産性向上を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

ERPとデータ統合が中堅企業に求められる背景と課題

ERPとデータ統合が求められる背景と課題 【現状】 部門最適・サイロ化 販売管理 (営業部門) 生産管理 (製造部門) 会計システム (バックオフィス) 手作業・Excel集計 レガシーシステム (老朽化・ブラックボックス化) × 経営判断の遅れ / ミスの発生 DX推進 【解決】 ERPによる全体最適 ERP (統合データベース) 営業部門 製造部門 バックオフィス ・リアルタイムな情報可視化 ・迅速かつ正確な経営判断 ◎ データ一元管理による業務効率化

昨今、多くの中堅企業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が経営の最重要テーマとして掲げられています。しかし、いざDXに取り組もうとしても、社内のデータが散在しており、有効に活用できないという壁に直面するケースが少なくありません。特に年商100億円から2000億円規模に成長した企業では、事業拡大の過程で部門ごとに最適なシステムを導入してきた結果、全社横断的なデータ活用が困難な状況に陥っています。ここでは、なぜ今ERPによるデータ統合が急務となっているのか、その背景にある具体的な課題を紐解いていきます。

部門最適によるデータサイロ化の弊害

企業が成長するにつれて、営業部門は販売管理システム、製造部門は生産管理システム、バックオフィスは会計パッケージといったように、各部門の業務効率化を優先して個別のシステムが導入される傾向にあります。このような部門最適のシステム導入は、現場の業務を一時的に改善するものの、システム間でデータが連携されない「データサイロ化」という深刻な問題を引き起こします。

データがサイロ化することで、企業内には以下のような弊害が生じます。

  • 顧客情報や商品マスタが各システムに点在し、データの整合性が保てない
  • システム間でデータを連携するために、手作業による二重入力や転記作業が発生する
  • 部門間の情報共有が遅れ、顧客からの問い合わせに迅速に対応できない
  • 全社的な在庫状況や販売実績を正確に把握できず、機会損失や過剰在庫を招く

このように、部門ごとの個別最適化は、結果として全社的な業務効率を低下させ、企業全体の成長を阻害する要因となっています。真のDXを実現するためには、部門の壁を越えてデータを一元管理する全体最適の視点が不可欠です。

乱立する表計算ソフトと手作業が招く経営判断の遅れ

システム間のデータ連携が自動化されていない環境では、不足する機能を補うために現場で表計算ソフトが多用されるようになります。各部門から出力されたCSVデータを担当者が手作業で集計・加工し、経営会議用のレポートを作成するという業務プロセスは、多くの中堅企業で見られる光景です。

しかし、こうした手作業に依存したデータ集計には限界があります。膨大な工数がかかるだけでなく、転記ミスや計算エラーのリスクが常に付きまといます。何より致命的なのは、実績データが経営層に届くまでにタイムラグが生じることです。

比較項目 表計算ソフトと手作業による集計 ERPとデータ統合による集計
情報の鮮度 月末や期末など、締め処理後にしか実績が把握できない 各業務のデータがリアルタイムに反映され、いつでも最新状況を確認可能
データの正確性 手作業による転記ミスや属人的な計算ミスのリスクが高い システム内でデータが自動連携されるため、人為的ミスが発生しない
集計の工数 各システムからのデータ抽出、加工、レポート作成に多大な時間を要する ダッシュボード等で自動的に可視化され、集計作業そのものが不要になる

ビジネス環境の変化が激しい現代において、過去のデータに基づく後手後手の対応では競争を勝ち抜くことはできません。リアルタイムな経営情報の可視化を実現し、迅速かつ正確な意思決定を下すための基盤として、ERPによるデータ統合が強く求められているのです。

レガシーシステムの限界とブラックボックス化

中堅企業が抱えるもう一つの大きな課題が、長年稼働し続けている既存システム(レガシーシステム)の老朽化とブラックボックス化です。過去に導入したオンプレミス型のシステムに対し、自社の複雑な業務要件に合わせるために過度なアドオン(追加開発)を繰り返してきた結果、システムの中身が誰にも分からない状態に陥っている企業は少なくありません。

このようなレガシーシステムは、保守運用に多大なコストと人的リソースを奪うだけでなく、新しいデジタル技術の導入やビジネスモデルの変革を妨げる大きな障壁となります。経済産業省のDXレポートにおいても、複雑化・ブラックボックス化した既存システムがDX推進の足かせとなり、国際競争力を低下させるリスクが指摘されています。

さらに、当時のシステム構築に携わった担当者の退職や高齢化が進むことで、システム障害時の対応や法制度変更に伴う改修が困難になるというリスクも顕在化しつつあります。老朽化したシステムを騙し騙し使い続けるのではなく、最新のビジネス環境に適応できる柔軟なERPへと刷新し、散在するデータを統合することが、次なる成長ステージへ進むための必須条件と言えます。

ERPにおけるデータ統合とは何か

ERPにおけるデータ統合の効果 【統合前】サイロ化状態 SFA/CRM 会計システム 人事システム 生産・在庫 ・データが分散し整合性が取れない ・手作業でのデータ転記が発生 ・経営判断に時間がかかる 【統合後】全体最適状態 ERP (統合データベース) SFA/CRM 会計システム 人事システム 生産・在庫 ・単一の事実として一元管理 ・システム間でデータ自動連携 ・リアルタイムな経営判断が可能

企業の成長に伴い、部門ごとに最適化されたシステムが乱立し、データが分散してしまうことは珍しくありません。このような状況を打破し、企業全体の競争力を高めるための鍵となるのが「ERPにおけるデータ統合」です。本章では、ERPの基本的な概念を振り返りながら、データ統合が企業経営にもたらす真の価値と、周辺システムと連携することで得られる具体的な効果について解説します。

ERPの基本概念と真の価値

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合的に管理し、有効活用するための概念であり、それを実現するためのITシステムを指します。会計、販売、購買、在庫、生産、人事といった基幹業務のデータを一つの統合データベースで一元管理することが最大の特徴です。

これまで多くの企業では、部門ごとに個別のシステムや表計算ソフトを導入し、業務の効率化を図ってきました。しかし、この「部分最適」のアプローチは、部門間のデータ連携を困難にし、経営状況の全体像を把握するのに多大な時間と労力を要する結果を招いています。経済産業省が発表した「DXレポート」でも指摘されている通り、既存システムのブラックボックス化やデータの分断は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を阻む大きな要因となっています。

ERPの真の価値は、分散していたデータを統合し、全社横断的な「全体最適」を実現することにあります。データがリアルタイムに連携・更新されることで、経営層や事業責任者は常に最新の正しい情報に基づいた迅速な意思決定が可能になります。単なる現場の業務効率化ツールではなく、経営基盤そのものを強化するための仕組みこそがERPなのです。

周辺システムとERPのデータ統合がもたらす効果

ERPは企業活動の根幹を支えるシステムですが、すべての業務要件を単一のERPパッケージだけで網羅することは現実的ではありません。営業部門が利用するSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)、現場の経費精算システムなど、特定の業務に特化した周辺システムとERPを連携させる「データ統合」が不可欠となります。

周辺システムとERPのデータ統合によって得られる主な効果は以下の通りです。

  • マスターデータの一元化による全社的なデータの整合性確保
  • システム間の二重入力や手作業でのデータ転記の排除
  • 業務プロセスのシームレスな連携によるリードタイムの短縮
  • 全社データを掛け合わせた多角的なデータ分析基盤の構築

データ統合の前後で、業務環境や経営管理がどのように変化するのかを以下の表に整理しました。

比較項目 データ統合前(サイロ化状態) データ統合後(全体最適状態)
データの状態 システムごとにデータが分散・重複し、整合性が取れない 単一の事実(Single Source of Truth)として一元管理される
業務プロセス システム間でデータのエクスポート・インポートや手入力が発生 システム間でデータが自動連携され、手作業が大幅に削減される
経営判断のスピード 月末や期末にデータを集計するまで正しい数値が把握できない リアルタイムに最新の経営数値が可視化され、即座に判断できる
システムの保守性 個別システム間の複雑な連携や過度な追加開発によりブラックボックス化 標準的なインターフェース(APIなど)による疎結合で柔軟性が高い

このように、ERPを中心に据えて周辺システムとデータを統合することは、業務の生産性を飛躍的に高めるだけでなく、将来のビジネス環境の変化にも柔軟に対応できる強固なIT基盤を築くことにつながります。中堅企業がさらなる成長を遂げるためには、現状のシステム環境を見直し、データ統合を前提としたERPの導入や刷新を検討することが極めて重要です。

ERPとデータ統合で実現するDX推進の具体例

ERPとデータ統合によるDX推進の全体像 〜 全社最適化とデータドリブンな意思決定の実現 〜 ERP / 統合データ基盤 マスターデータ一元化 業務プロセスの自動化・連携 営業部門 受注・販売データ入力 生産部門 生産計画・在庫更新 経理部門 売上計上・請求処理 経営層 リアルタイム可視化 迅速な意思決定

ERPの導入と周辺システムとのデータ統合は、単なるITツールのリプレイスにとどまらず、企業全体のビジネスモデルや業務プロセスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の強力な推進力となります。特に、複数の部門システムや表計算ソフトが乱立し、全社最適化が課題となっている中堅企業において、データ統合がもたらすインパクトは計り知れません。ここでは、ERPとデータ統合によって具体的にどのようなDXが実現できるのかを解説します。

経営情報のリアルタイムな可視化と意思決定の迅速化

経営層や事業責任者にとって、自社の経営状況を正確かつリアルタイムに把握することは、変化の激しい市場環境を生き抜くための必須条件です。ERPを中心としたデータ統合により、各部門に散在していた情報が一元化され、経営判断に必要なデータが瞬時に引き出せるようになります。

データの一元管理による「経営の見える化」

販売、購買、生産、在庫、財務会計といったあらゆる業務データがERP上でシームレスに連携することで、これまで月次決算を待たなければ把握できなかった経営指標が、日次や週次で確認可能になります。経済産業省のDXレポートなどでも指摘されている通り、ブラックボックス化した既存システムから脱却し、データを全社横断的に活用できる環境を整えることは、企業の競争力維持に直結します。

  • 部門ごとの売上推移と利益率のリアルタイム把握
  • 在庫状況の可視化による過剰在庫や欠品の防止
  • プロジェクトごとの原価と採算性の正確な管理
  • 資金繰り予測の精度向上と迅速な財務戦略の立案

ダッシュボードを活用した多角的な分析

統合されたデータは、ダッシュボード機能などを通じて視覚的に分かりやすく表示されます。これにより、データの集計や加工に多大な時間を費やすことなく、異常値の早期発見やトレンドの分析に注力できるようになります。経営の見える化が遅延している状況を打破し、データドリブンな意思決定を実現することが可能になります。

項目 データ統合前(サイロ化状態) データ統合後(ERP活用)
データ集計 各部門から表計算ソフトを収集し手作業で統合(数日〜数週間) システム上で自動集計されリアルタイムに確認可能
情報の正確性 転記ミスや部門間のデータ不一致が頻発 単一のデータソースにより正確性が担保される
意思決定のスピード 過去のデータに基づく事後対応が中心 最新データに基づく迅速な予測とプロアクティブな対応

業務プロセスの自動化による生産性向上

データが統合されることで、部門をまたぐ業務プロセスがシームレスにつながり、これまで発生していた無駄な手作業や待ち時間が大幅に削減されます。これは、従業員がより付加価値の高いコア業務に専念できる環境を作り出すことを意味します。

二重入力の排除とヒューマンエラーの防止

営業部門の販売管理システム、製造部門の生産管理システム、そして経理部門の会計システムがそれぞれ独立している場合、同じデータを複数のシステムに手入力する手間が発生します。ERPによってこれらのシステムが統合、あるいはシームレスに連携されることで、一度入力されたデータは後続のプロセスへ自動的に引き継がれます。これにより、入力作業の工数が削減されるだけでなく、転記ミスによるヒューマンエラーも未然に防ぐことができます。

部門間連携のシームレス化

業務プロセスの自動化は、以下のようなステップで部門間の連携を円滑にします。

  1. 営業が受注データを入力すると、同時に生産部門の計画に反映される
  2. 生産完了後、在庫データが自動更新され、出荷指示が出される
  3. 出荷完了と同時に、経理部門へ売上計上と請求処理のデータが連携される

このように、情報の分断による業務の停滞が解消され、全社的なリードタイムの短縮と生産性の劇的な向上が見込めます。

全社最適なデータ基盤の構築

部門ごとに最適化された個別システム(部分最適)の集合体から、全社視点で設計された統合システム(全体最適)へと移行することは、中堅企業がさらなる成長を遂げるための重要なステップです。ERPと周辺システムのデータ統合は、その強固な基盤となります。

マスターデータの統合と品質向上

顧客マスター、商品マスター、取引先マスターなどが部門ごとにバラバラに管理されていると、情報の不整合が生じ、正確なデータ分析が困難になります。データ統合の過程でこれらのマスターデータを整理・統合することで、全社で統一された高品質なデータ基盤が構築されます。信頼性の高いデータ基盤は、将来的なAI活用や高度な需要予測を行うための必須条件となります。

将来のビジネス変化に強いITインフラの実現

ビジネス環境の変化に伴い、新たな販売チャネルの追加や新規事業の立ち上げが必要になった際、柔軟にシステムを拡張できるかどうかが問われます。全社最適なデータ基盤が整っていれば、外部のクラウドサービスや新たな周辺システムとのAPI連携もスムーズに行うことができます。

  • M&Aや組織再編時のシステム統合が容易になる
  • 法改正や新たなビジネスモデルへの迅速な対応
  • 老朽化したレガシーシステムからの脱却による運用保守コストの最適化

このように、ERPと周辺システムのデータ統合は、現状の課題解決にとどまらず、企業の未来を支える拡張性と柔軟性を備えたITインフラを実現します。全社最適の視点を持ってデータ統合を進めることが、真のDX推進へとつながっていくのです。

ERPと周辺システムのデータ統合を成功させるステップ

ERPと周辺システムのデータ統合を成功させるステップ Step 1. 自社の現状把握と課題の洗い出し Step 2. データ統合に向けた要件定義と目標設定 Step 3. 最適なERPと連携手法の選定 Step 4. スモールスタートによる段階的な導入と定着化

ERPと周辺システムのデータ統合は、全社的な業務プロセスを見直し、経営基盤を再構築する一大プロジェクトです。ここでは、中堅企業がプロジェクトを円滑に進め、確実に成果を創出するための具体的なステップを解説します。

自社の現状把握と課題の洗い出し

まずは、各部門で稼働している既存システムや、散在する表計算ソフトの利用状況を正確に把握することが出発点です。どの業務プロセスでデータが分断され、二重入力や手作業による転記が発生しているのかを可視化します。

  • 各部門で利用されているシステムとデータの流れの棚卸し
  • 手作業や表計算ソフトに依存している業務プロセスの特定
  • データの不整合やタイムラグが発生しているボトルネックの抽出

経済産業省のDXレポートなどでも指摘されているように、ブラックボックス化した既存環境の可視化は、次世代の経営基盤を構築するための不可欠なプロセスです。現状を正しく認識することで、データ統合によって解決すべき真の課題が浮き彫りになります。

データ統合に向けた要件定義と目標設定

現状の課題が明確になった後は、データ統合によって何を成し遂げたいのかという目標を設定し、要件定義を進めます。単なるシステムのリプレイスではなく、全社最適の視点から「あるべき業務プロセス」を描くことが重要です。

経営層がリアルタイムに数値を把握し、迅速な意思決定を行うためには、どのデータを統合し、どのような形で可視化する必要があるのかを定義します。全社最適なデータ基盤の構築こそがERPの真の価値であるという共通認識を、プロジェクトメンバー全員で持つことが成功の鍵となります。

最適なERPと連携手法の選定

要件が固まったら、自社のビジネスモデルや将来の拡張性に適したERPと、周辺システムとの連携手法を選定します。データ統合の連携手法にはいくつかのアプローチがあり、リアルタイム性や開発コスト、運用負荷などを総合的に評価して決定する必要があります。

連携手法 特徴 メリット デメリット
API連携 システム同士を直接つなぎ、リアルタイムにデータを送受信する手法 データの即時性が高く、経営状況のリアルタイムな把握が可能 システム側がAPIに対応している必要があり、開発難易度がやや高い
ファイル連携(CSV等) 定期的にデータを出力し、別システムに取り込む従来型の手法 既存システムの大幅な改修が不要で、導入ハードルが低い バッチ処理となるためタイムラグが発生し、リアルタイム性に欠ける
データ連携ツール(EAI等) 中継ハブとなるツールを導入し、複数システム間のデータを統合管理する手法 多様なシステムとの柔軟な連携が可能で、拡張性に優れる 連携ツール自体の導入コストや運用設計の手間がかかる

自社のITリソースや求めるデータの即時性に応じて、最適な手法を組み合わせることが、無理のないデータ統合を実現するポイントです。

スモールスタートによる段階的な導入と定着化

システムを全社一斉に切り替えるアプローチは、業務停止のリスクや現場の混乱を招く恐れがあります。そのため、影響範囲の小さい部門や、特定の業務領域から段階的に導入を進めるスモールスタートが推奨されます。

  1. コアとなる会計領域や特定の事業部での先行導入
  2. 先行導入で得られた課題の改善とノウハウの蓄積
  3. 販売管理や生産管理など、他領域への段階的な展開

新しいシステムや業務プロセスに対する現場の抵抗感を和らげるためには、丁寧な操作研修やマニュアルの整備が欠かせません。導入して終わりではなく、現場の従業員が新しいデータ基盤を使いこなし、業務効率化の実感を得られるまで伴走することが、データ統合プロジェクトを真の成功へと導きます。自社に最適なERPの姿を具体化するためにも、まずは製品の概要資料などを取り寄せ、比較検討を始めることをお勧めします。

ERP導入時に陥りやすい失敗と対策

ERP導入時に陥りやすい失敗と対策 1. システム・機能面 失敗:アドオン過多 ・既存業務に合わせすぎる ・コスト増大 / 期間の長期化 ・保守のブラックボックス化 対策:Fit to Standard ・標準機能に業務を合わせる ・ベストプラクティスの導入 ・コスト最適化と短期導入 ・スムーズなアップデート 2. 組織・マネジメント面 失敗:現場の抵抗感 ・新しい操作への負担感 ・業務変化への不安や反発 ・システムが定着しない 対策:チェンジマネジメント ・経営層の強いコミットメント ・現場エースのアサイン ・丁寧なトレーニングと支援 ・スモールスタートで成功体験 VS

ERPの導入は、全社的なデータ統合とDX推進を実現するための強力な手段ですが、プロジェクトの規模が大きく、全社を巻き込むため、失敗するリスクも少なからず存在します。特に、初めてERPを導入する企業や、レガシーシステムからの刷新を図る中堅企業においては、事前の対策が成否を大きく左右します。ここでは、ERP導入プロジェクトにおいて多くの企業が陥りやすい代表的な失敗例と、それを回避するための具体的な対策について解説します。

過度な追加開発によるシステム肥大化の回避

ERP導入において最も多く見られる失敗の一つが、自社の既存業務に合わせてシステムをカスタマイズしすぎる、いわゆる「アドオン過多」の状態に陥ることです。

なぜアドオン開発は増えてしまうのか

長年培ってきた自社独自の業務プロセスには、現場のこだわりや属人的なノウハウが詰まっています。そのため、新しいシステムを導入する際にも「今の業務のやり方を変えたくない」という現場の要望が強くなり、結果としてERP側に過度な追加開発(アドオン)を施してしまうケースが後を絶ちません。しかし、アドオン開発が増えれば増えるほど、導入コストは膨張し、プロジェクト期間も長期化します。さらに深刻なのは、稼働後の保守運用がブラックボックス化し、将来的なバージョンアップが困難になるという点です。経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」の要因の一つも、過剰なカスタマイズによるシステムの老朽化とブラックボックス化にあると指摘されています。

標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」への転換

この失敗を回避するためには、ERPが提供する標準機能に自社の業務プロセスを合わせる「Fit to Standard(フィット・トゥ・スタンダード)」の考え方を徹底することが不可欠です。ERPの標準機能には、世界中の優れた企業のベストプラクティス(最適事例)が組み込まれています。自社の業務をERPに合わせることは、単なる妥協ではなく、グローバル標準の効率的な業務プロセスへ変革する絶好の機会でもあります。

比較項目 アドオン過多のERP導入 Fit to Standardによる導入
導入コスト 開発費用が膨らみ高額化しやすい 開発を抑えるためコストを最適化できる
導入期間 要件定義や開発・テストにより長期化 標準機能を活用するため短期間で導入可能
バージョンアップ 影響調査や改修が必要になり困難 スムーズなアップデートで最新機能を享受
業務プロセス 属人的な既存業務がそのまま残る ベストプラクティスを取り入れ標準化・効率化

もちろん、自社の競争力の源泉となる独自のコア業務については、周辺システムとのデータ統合などを活用して柔軟に対応する必要があります。しかし、それ以外の一般的な業務においては、可能な限り標準機能を活用し、システム肥大化を防ぐことが、ERPの真の価値を引き出す鍵となります。

現場の抵抗感を払拭する組織マネジメント

システムの仕様や機能面だけでなく、組織や人の問題もERP導入の大きな障壁となります。データ統合によって全社最適を目指すERPプロジェクトは、現場の業務プロセスに多大な変化をもたらすためです。

現場が抱く不安と導入の壁

部門ごとに最適化された個別のシステムや、慣れ親しんだ表計算ソフトでの手作業からERPへ移行する際、現場の従業員は「新しい操作を覚えるのが負担だ」「自分たちの仕事が奪われるのではないか」といった不安や抵抗感を抱きがちです。こうした現場の反発を放置したままトップダウンでシステム導入を強行すると、稼働後にシステムが正しく入力されず、結果として経営層が期待したリアルタイムなデータの可視化が実現しないという事態に陥ります。

経営層のコミットメントと丁寧なチェンジマネジメント

現場の抵抗感を払拭し、新しいシステムと業務プロセスを定着させるためには、経営層の強いコミットメントと、組織全体を導くチェンジマネジメントが欠かせません。IT部門や外部のベンダーに丸投げするのではなく、経営層自らがプロジェクトの先頭に立ち、変革の必要性を訴え続ける必要があります。

具体的には、以下のような取り組みを通じて、現場の理解と協力を得ることが重要です。

  • 経営トップから全社へ、ERP導入によるDX推進の目的と真の価値を直接発信する
  • 各部門のエース級人材をプロジェクトメンバーとしてアサインし、現場の意見を吸い上げる体制を構築する
  • 新しい業務プロセスに関する丁寧なトレーニングを実施し、移行期間のサポートを手厚くする
  • 導入による業務効率化の成功体験を早期に創出(スモールスタート)し、社内へ共有する

ERPと周辺システムのデータ統合は、単なるITツールの導入ではなく、企業全体の働き方や意識を変革する全社プロジェクトです。現場の不安に寄り添いながら、全社一丸となって変革を推進する組織マネジメントこそが、ERP導入を成功に導く最大の推進力となります。

ERP データ統合に関するよくある質問

ERPと既存システムのデータ統合は可能ですか?

APIや連携ツールを利用して統合可能です。

データ統合にかかる期間はどのくらいですか?

要件によりますが数ヶ月から半年程度が一般的です。

クラウドERPとオンプレミスのどちらが良いですか?

初期費用を抑え柔軟性を求めるならクラウドERPが適しています。

データ統合に専門知識は必要ですか?

ノーコードの連携ツールを活用すれば専門知識なしでも可能です。

中小企業でもERP導入のメリットはありますか?

業務効率化や経営状況の可視化など大きなメリットがあります。

まとめ

ERPと周辺システムのデータ統合は、データサイロ化を解消し、リアルタイムな経営判断と業務の自動化を実現するために不可欠です。システム肥大化を防ぐため、スモールスタートで段階的に導入することが成功の鍵となります。全社最適なデータ基盤の構築に向け、まずは自社の課題に合ったERPの情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。ERPは企業のDX推進を強力に後押しする価値ある投資です。

 

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