企業の成長やDX推進に欠かせない「ERPパッケージ」ですが、SAPやオービックなど製品数が多く、自社に最適なシステムを選ぶのは難しいと感じていませんか。本記事では、ERPパッケージの基本概念から導入のメリット、クラウド型とオンプレミス型の違いまでをわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- ERPパッケージの基本と導入すべき理由
- 自社に合ったERPパッケージの選び方と比較ポイント
- 2026年最新のおすすめERPパッケージ10選
- 導入を成功させるための具体的なステップ
業務効率化や経営の見える化を実現し、システム乱立や老朽化といった課題を解決するための、最適なベンダー選びの参考にしてください。
ERPパッケージとは?基本概念と導入の必要性
企業の持続的な成長と競争力強化に向けて、経営基盤の強化は避けて通れない課題です。その解決策として多くの企業が注目しているのがERPパッケージです。ここでは、ERPパッケージの基本的な意味や役割、そして中堅企業においてなぜ導入や刷新が急務となっているのか、その背景について解説します。
ERPパッケージの意味と役割
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称であり、日本語では「企業資源計画」と訳されます。企業が持つ重要な経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合的に管理し、有効活用するための経営手法を指します。この考え方を実現するためのITシステムが、ERPパッケージ(統合基幹業務システム)です。
従来のシステム環境では、会計システム、販売管理システム、人事システムなどが部門ごとに独立して稼働しているケースが一般的でした。しかし、ERPパッケージはこれらの基幹業務をひとつのシステム内で統合します。ERPパッケージが構成する主な機能領域は以下の通りです。
| 主な機能領域 | 役割と管理対象 |
|---|---|
| 財務・管理会計 | 全社の財務状況の把握、予算実績管理、経費精算など「カネ」の管理 |
| 販売・購買管理 | 見積、受注、売上、発注、仕入など取引情報と「モノ」の動きの管理 |
| 生産管理 | 生産計画の立案、工程管理、原価計算など製造プロセスの管理 |
| 人事・給与管理 | 従業員情報、勤怠、給与計算、人材育成など「ヒト」の管理 |
これらの機能が単一のデータベースで連携することにより、ある部門で入力されたデータが即座に他部門のシステムにも反映されます。リアルタイムな情報共有と経営状況の可視化を実現することが、ERPパッケージの最大の役割です。
中堅企業におけるERPパッケージ導入の背景
近年、年商100億円から2000億円規模の中堅企業において、ERPパッケージの導入および刷新の動きが加速しています。その背景には、企業の成長フェーズに応じた以下のような深刻なシステム課題が存在します。
- 部門ごとの個別システムや表計算ソフトが乱立し、データの二重入力や手作業での集計に多大な工数がかかっている
- 過剰なカスタマイズ(アドオン開発)により、既存の基幹システムが老朽化およびブラックボックス化している
- システムの複雑化によりバージョンアップが困難となり、タイムリーな経営情報の把握が遅延している
初めてERPの導入を検討する企業では、事業の拡大に伴ってシステム間の連携が取れなくなり、全社最適ができていないという課題に直面しています。一方で、すでにERPを導入している企業においても、自社の複雑な業務要件に合わせて追加開発を繰り返した結果、保守費用の増大やシステムの硬直化を招いているケースが少なくありません。
こうした既存システムの老朽化や複雑化がもたらす経済的損失のリスクについては、経済産業省が発表したDXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~においても強い警鐘が鳴らされています。
変化の激しいビジネス環境において、迅速かつ正確な経営判断を下すためには、社内に散在するデータを統合し、正しい情報を即座に把握できる基盤が不可欠です。このような背景から、中堅企業における次世代ERPパッケージへの移行は、単なるITツールの入れ替えではなく、経営課題を根本から解決するための戦略的な投資として位置づけられています。
ERPパッケージを導入する3つの真の価値
中堅企業が抱えるシステム乱立や老朽化といった課題を解決し、企業全体の成長を後押しするためには、単なるITツールの導入にとどまらない本質的な目的を理解することが重要です。ここでは、ERPパッケージを導入することで企業が得られる3つの真の価値について詳しく解説します。
全社データの統合による経営の見える化
多くの企業では、会計、販売、生産、人事などの各部門で個別のシステムが稼働しており、データが分断された状態(サイロ化)に陥っています。このような環境では、経営層が全社の状況を正確に把握するまでに多大な時間と労力がかかり、迅速な意思決定が困難になります。
ERPパッケージを導入する最大の価値は、企業内のあらゆるデータを単一のデータベースで一元管理できる点にあります。情報がリアルタイムで更新・共有されるため、現在の売上状況や在庫推移、コストの発生状況などを即座に可視化することが可能です。経営状況の正確な把握と迅速な意思決定は、変化の激しい市場環境において企業の競争力を維持・向上させるための強力な武器となります。
部門最適化された個別システムと、全体最適化されたERPパッケージの違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 個別システム(部門最適) | ERPパッケージ(全体最適) |
|---|---|---|
| データ管理 | 部門ごとに分散・重複 | 単一データベースで一元管理 |
| 情報把握のスピード | 集計作業が必要で遅延が発生 | リアルタイムで可視化 |
| システム間の連携 | 複雑なインターフェース開発が必要 | 標準機能でシームレスに連携 |
業務プロセスの標準化と効率化
長年にわたって独自の業務フローを構築してきた企業では、業務が属人化し、特定の担当者しか処理できないブラックボックス化が進んでいるケースが少なくありません。また、既存システムに過度なアドオン(追加開発)を繰り返した結果、システムの保守・運用負荷が増大していることも大きな課題です。
ERPパッケージには、国内外の優れた企業の業務プロセス(ベストプラクティス)があらかじめ組み込まれています。自社の業務をこの標準プロセスに合わせることで、属人化を排除し、業務の効率化と品質の均一化を図ることができます。経済産業省が発表しているDXレポートなどでも指摘されている通り、レガシーシステムからの脱却と業務プロセスの見直しは、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進する上で不可欠な要素です。
業務プロセスの標準化によって得られる具体的なメリットは以下の通りです。
- 部門間でのデータの二重入力や転記ミスの削減
- 業務フローの可視化によるボトルネックの早期発見と改善
- 担当者の異動や退職に伴う引き継ぎ業務の負担軽減
このように、システムに合わせて業務を見直すアプローチは、無駄な作業を削減し、従業員がより付加価値の高い業務に専念できる環境を作り出します。
内部統制の強化とコンプライアンス対応
企業の社会的責任が重みを増す中、適切な内部統制の構築とコンプライアンス(法令遵守)への対応は、経営上の重要課題となっています。しかし、Excelや部門ごとのシステムが乱立している状態では、誰がいつデータを変更したのかを追跡することが難しく、情報漏洩や不正操作のリスクが高まります。
ERPパッケージは、厳密な権限管理機能や操作ログの記録機能を標準で備えています。業務の実行から会計処理に至るまでの一連のプロセスがシステム上で紐づいて管理されるため、データの整合性が担保され、不正の入り込む余地を大幅に減らすことができます。透明性の高い業務プロセスの構築は、監査対応の負荷を軽減するだけでなく、企業に対する社会的信用の向上にも直結します。
また、税制改正や新しい会計基準の導入など、外部環境の変化に対しても、ベンダーが提供するアップデートを適用することで迅速かつ確実に対応できる点も、パッケージシステムならではの大きな価値と言えます。
ERPパッケージ導入と刷新におけるよくある課題
中堅企業がERPパッケージの導入や刷新を検討する際、企業の成長フェーズや既存のIT環境によって直面する課題は異なります。全社最適なシステム環境を構築し、経営の見える化を実現するためには、まず自社が抱えている現状の課題を正しく把握することが重要です。ここでは、初めてERPパッケージを導入する企業と、既存のERPパッケージを刷新する企業のそれぞれが直面しやすい代表的な課題について解説します。
初めての導入で直面するシステム乱立の壁
事業規模が拡大し、年商100億円から2000億円規模へと成長を遂げる中堅企業において、初めてERPパッケージの導入を検討するきっかけとなるのが、社内システムの乱立による業務の非効率化です。
創業期から事業部門ごとに最適なシステムを個別導入してきた結果、会計パッケージを中心に、販売管理システムや生産管理システムが独立して稼働しているケースが少なくありません。さらに、システム間のデータ連携を補うために無数のExcelファイルが作成され、バケツリレーのように手作業でデータを転記しているのが実態です。
このような部門最適化されたシステム環境では、以下のような問題が発生しやすくなります。
- システム間のデータ連携が分断されており、二重入力や転記ミスが常態化している
- 各部門で独自のExcel管理が横行し、全社で統一された正確なデータが存在しない
- 経営層が全社の状況を把握するためのデータ集計に多大な時間と労力を要している
特に経営の視点から見ると、リアルタイムなデータの把握ができないことは致命的です。月次決算の早期化が実現できず、経営判断の遅れを招く原因となります。全社横断的なデータ統合による経営の見える化を実現するためには、部門ごとに乱立したシステムを統合し、全社最適の視点でERPパッケージを導入することが不可欠となります。
既存システムの老朽化とアドオン過多の問題
一方で、過去にオンプレミス型のERPパッケージを導入しており、現在システムの刷新を検討している企業においても、特有の深刻な課題が存在します。その代表例が、既存システムの老朽化と過剰なアドオン開発によるシステムのブラックボックス化です。
導入当初、自社独自の複雑な業務プロセスを維持するために、標準機能にはない機能をアドオン(追加開発)として大量に組み込む企業が多く見られました。しかし、長年にわたり業務変更のたびに場当たり的な改修を繰り返した結果、システム構造が複雑化し、保守運用が特定の担当者に依存する属人化を引き起こしています。
既存システムの老朽化とアドオン過多がもたらす主な課題は以下の通りです。
| 課題の分類 | 具体的な問題点 | 経営への影響 |
|---|---|---|
| システムの老朽化 | ハードウェアの保守期限切れや、OS・ミドルウェアのサポート終了に伴う動作の遅延や不安定化 | 予期せぬシステム障害のリスク増大と、それに伴う業務停止による甚大な機会損失 |
| アドオン過多 | 標準機能への影響調査が膨大になり、システムのバージョンアップが事実上困難になる | 多額の保守維持コストの高止まりと、最新テクノロジーを活用したビジネス変革の遅れ |
経済産業省が発表したDXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~においても、既存のレガシーシステムがデジタルトランスフォーメーション推進の足かせとなることが指摘されています。過剰なカスタマイズによって複雑化したシステムは、維持管理に多額のIT予算と人的リソースを奪い、新たな価値創出に向けた戦略的なIT投資を阻害してしまいます。
このような状況を打破し、変化の激しいビジネス環境に柔軟に対応するためには、既存の業務プロセスをシステムに合わせる標準化の考え方を取り入れ、アドオンを最小限に抑えたERPパッケージの刷新が求められます。これにより、保守コストを適正化し、経営情報の迅速な可視化と全社的な業務効率の向上を実現することが可能になります。
自社に最適なERPパッケージの選び方と比較ポイント
ERPパッケージの導入や刷新を成功させるためには、自社の経営課題や業務プロセスに最も適したシステムを選定することが不可欠です。特に、部門ごとにシステムが乱立している状態から全社最適を目指す中堅企業においては、選定基準を明確にすることがプロジェクトの成否を分けます。ここでは、自社に最適なERPパッケージを選ぶための具体的な比較ポイントを解説します。
クラウド型とオンプレミス型の違い
ERPパッケージの導入形態は、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類が存在します。近年は、サーバーの運用保守負荷を軽減できるクラウド型が主流となりつつありますが、自社のセキュリティ要件やカスタマイズの必要性に応じて適切な形態を選択することが重要です。総務省が公表している情報通信白書などでも、企業のクラウドサービス利用率は年々上昇傾向にあることが示されており、システムのクラウド移行は社会的なトレンドとなっています。
それぞれの導入形態における主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 比較的安価(サーバー構築が不要なため) | 高額(ハードウェアやインフラの調達が必要) |
| 導入期間 | 短期間での導入が可能 | サーバー構築から行うため長期間を要する |
| カスタマイズ性 | 標準機能に合わせる運用が基本(制限あり) | 自社の業務要件に合わせて柔軟に開発可能 |
| 運用保守 | ベンダー側で実施(自社のIT部門の負荷軽減) | 自社で運用保守体制を構築する必要がある |
既存システムの老朽化やアドオン過多によるバージョンアップの困難さに直面している企業の場合、標準機能を活用して常に最新の環境を利用できるクラウド型への移行が有力な選択肢となります。システムを常に最新の状態に保つことで、経営状況のリアルタイムな把握が容易になります。
自社の企業規模と業務適合率の確認
ERPパッケージを選定する上で、自社の企業規模(年商や従業員数)を対象としているシステムかどうかの確認は非常に重要です。大企業向けのシステムを中堅企業に導入すると、機能が過剰で使いこなせず、コストも見合わない結果を招く恐れがあります。逆に、小規模向けのシステムでは、将来的な事業拡大や複雑な業務要件に対応しきれなくなる可能性があります。
また、自社の業務プロセスとERPパッケージの標準機能がどの程度一致しているかを示す「業務適合率」の評価も欠かせません。選定時には以下のポイントを確認します。
- 業界特有の商慣習や法規制に標準機能で対応できるか
- 不足している機能がある場合、業務プロセスをシステムに合わせることが可能か
- どうしても必要な独自業務に対して、周辺システムとのデータ連携でカバーできるか
システムを自社の業務に合わせるために過度なカスタマイズを行うと、将来的なシステムの刷新や保守の妨げとなります。業務の標準化を前提として、自社の強みとなるコア業務にのみカスタマイズを限定するという方針を持つことが、長期的な運用を成功させる鍵です。これにより、全社データの統合がスムーズに進み、経営の見える化というERP本来の価値を引き出すことができます。
サポート体制とベンダーの信頼性
ERPパッケージは導入して終わりではなく、そこから長期間にわたる運用が始まります。そのため、システムを提供するベンダーの信頼性や、導入後を含めたサポート体制の充実は、比較検討において極めて重要な要素です。
特に初めてERPを導入する企業や、情報システム部門のリソースが限られている中堅企業においては、トラブル発生時の対応スピードや、法改正に伴うシステムのアップデート対応がスムーズに行われるかが業務継続性に直結します。ベンダーを選定する際は、以下の点に着目して評価を行ってください。
- 同業他社や同規模の企業における導入実績が豊富にあるか
- 要件定義から導入、稼働後の定着化支援まで一貫したサポート体制が整っているか
- トラブル発生時の問い合わせ窓口や対応時間などのサービスレベルが明確か
信頼できるパートナー企業を見つけることで、導入プロジェクトの遅延を防ぎ、ERPの真の価値である全社最適化を早期に実現することが可能になります。まずは、各社が提供している概要資料などを取り寄せ、自社の課題解決に寄与するベンダーを比較検討することをおすすめします。
【2026年最新】中堅企業向けERPパッケージおすすめ10選
中堅企業の皆様がERPパッケージを選定する際、自社の業務要件や今後の事業展開に合わせたシステム選びが極めて重要です。経済産業省が公開しているDXレポートでも指摘されているように、既存システムの老朽化やブラックボックス化は企業の成長を阻害する大きな要因となります。そのため、最新の技術トレンドを取り入れた最適なシステムへの刷新が急務となっています。
ここでは、2026年の最新動向を踏まえ、中堅企業に最適なERPパッケージの代表的な10のモデルを、「国産」「グローバル対応」「業界特化型」の3つのカテゴリに分けてご紹介します。なお、本記事では特定の企業名や製品名の記載を控え、各パッケージが持つ機能的特徴や強みに焦点を当てて解説します。
国産ERPパッケージの特徴とおすすめ製品
国産ERPパッケージは、日本の複雑な商習慣や独自の業務プロセスに適合しやすい点が最大の特徴です。現場のユーザーにとって直感的に操作しやすい画面設計が採用されていることが多く、業務の標準化を進めながらも、日本企業特有のきめ細やかな管理手法を維持したい場合に適しています。また、導入後のサポート体制が充実している点も、初めてERPを導入する中堅企業にとって安心できる要素です。
| おすすめ製品(モデル) | 主な特徴と強み | 適している企業の要件 |
|---|---|---|
| 国産パッケージA | 会計から人事、販売管理まで網羅する統合型。柔軟なカスタマイズ性を備え、既存システムからの段階的な移行に強い。 | 部門間のデータ連携を強化し、全社最適を図りたい企業 |
| 国産パッケージB | クラウドネイティブで構築され、API連携が豊富。外部のSaaSツールとの連携が容易で拡張性が高い。 | すでに複数のクラウドサービスを利用しており、それらを統合したい企業 |
| 国産パッケージC | 中堅企業向けに機能を厳選し、短期間・低コストでの導入を可能にしたテンプレート主導型モデル。 | まずは早期に経営の見える化を実現し、スモールスタートを切りたい企業 |
| 国産パッケージD | 内部統制機能が強固で、IPO(新規株式公開)を目指す企業の監査対応に特化した機能を標準装備。 | 上場準備中、またはコンプライアンス強化を最優先とする企業 |
国産ERPパッケージを検討する際は、以下のポイントを確認することが重要です。
- 自社の現行業務プロセスと標準機能の適合率(フィット&ギャップ)
- 法改正(インボイス制度や電子帳簿保存法など)への迅速なアップデート対応
- ベンダーや導入パートナーのサポート品質と対応スピード
グローバル対応ERPパッケージの特徴とおすすめ製品
海外展開を進める中堅企業にとって、多言語・多通貨対応や各国の税制・法制度に準拠したグローバル対応ERPパッケージは不可欠な基盤となります。世界中の優れた企業で培われたベストプラクティス(標準業務プロセス)が組み込まれており、システムに合わせて業務を改革することで、グローバル全体での経営情報のリアルタイムな可視化と強力なガバナンスを実現します。
| おすすめ製品(モデル) | 主な特徴と強み | 適している企業の要件 |
|---|---|---|
| グローバルパッケージE | 世界トップクラスのシェアを誇る製品の中堅企業向けエディション。高度な分析機能とAIを活用した業務自動化が強み。 | グローバル規模でのデータ統合と、将来的なビジネス拡張を見据える企業 |
| グローバルパッケージF | 海外の複数拠点への展開を前提とした、2層ERP(Two-Tier ERP)戦略に最適なクラウドベースの製品。 | 本社と海外子会社で異なるシステムを連携させ、統制を効かせたい企業 |
| グローバルパッケージG | 製造・サプライチェーン管理に特化したグローバルモデル。各国の工場間の在庫や生産計画を一元管理。 | 海外に生産拠点を持ち、サプライチェーンの最適化が急務な製造業 |
グローバル対応ERPパッケージを導入することで、次のようなメリットが得られます。
- グループ全体の財務状況や在庫状況をリアルタイムで把握できる
- 各国のコンプライアンス要件に標準機能で対応できる
- グローバルで統一された業務プロセスによる業務効率の大幅な向上
業界特化型ERPパッケージの特徴とおすすめ製品
特定の業種(製造業、建設業、小売・卸売業など)に特化したERPパッケージは、その業界特有の複雑な要件があらかじめ標準機能として実装されています。汎用的なERPでは多額のカスタマイズ費用が発生しがちな業界特有のプロセスも、業界特化型であれば標準機能でカバーできる可能性が高くなります。これにより、アドオン開発を最小限に抑え、システムの老朽化リスクを軽減することが可能です。
| おすすめ製品(モデル) | 主な特徴と強み | 適している企業の要件 |
|---|---|---|
| 業界特化型パッケージH | 組立製造業向け。複雑な部品構成表(BOM)の管理や、生産計画の精緻なシミュレーション機能を搭載。 | 多品種少量生産を行っており、原価管理の精度を向上させたい製造業 |
| 業界特化型パッケージI | 建設・プロジェクト型ビジネス向け。案件ごとの進行基準での売上計上や、実行予算の予実管理に強みを持つ。 | プロジェクト単位での収支管理を厳密に行いたい建設業やITサービス業 |
| 業界特化型パッケージJ | 小売・流通業向け。オムニチャネル対応や、POSシステム・ECサイトとのシームレスなデータ連携を実現。 | 実店舗とオンラインの在庫を一元化し、顧客体験を向上させたい小売業 |
業界特化型ERPパッケージを選定する際は、以下の点に留意してください。
- 業界固有の法規制や商慣習への対応が網羅されているかを確認する
- 将来的な新規事業や業態転換の際にも柔軟に対応できる拡張性があるかを見極める
- 同業他社での導入実績や成功事例が豊富にあるベンダーを選択する
ERPパッケージ導入を成功に導くステップ
中堅企業がERPパッケージの導入や刷新を検討する際、単なるITシステムの入れ替えという認識で進めてしまうと、期待した効果を得られないケースが少なくありません。ERPの真の価値である「全社データの統合」や「経営の見える化」を実現するためには、全社的な業務改革を見据えた慎重なステップを踏む必要があります。ここでは、プロジェクトを成功に導くための重要なプロセスを解説します。
現状の業務課題の洗い出しと要件定義
ERP導入の第一歩は、現状の業務プロセスの可視化と課題の洗い出しです。部門ごとにシステムやExcelが乱立している状況や、長年の運用でアドオンが肥大化した老朽化システムを抱えている場合、既存の業務フローをそのまま新しいシステムに移行することは推奨されません。
経済産業省が発表したDXレポートでも指摘されている通り、既存システムのブラックボックス化や複雑化は、企業のデジタル競争力を低下させる大きな要因となります。そのため、まずは自社の業務を客観的に見直し、ERPパッケージの標準機能に業務を合わせるアプローチを取り入れることが重要です。
業務要件を定義する際は、以下の視点で業務の仕分けを行います。
- 業界のベストプラクティスに従い、標準化・効率化すべき定型業務
- 自社の競争優位性の源泉となる、独自性を維持すべきコア業務
- 慣習で行われているものの、システム導入を機に廃止・簡略化できる業務
これらを整理することで、アドオン開発を最小限に抑え、将来のバージョンアップにも柔軟に対応できるシステム基盤を構築することができます。業務の仕分けと対応方針について、以下の表に整理しました。
| 業務の分類 | 特徴 | ERP導入時の対応方針 |
|---|---|---|
| 標準業務 | 財務会計や人事給与など、他社と差別化になりにくい定型業務 | ERPの標準機能に業務プロセスを合わせる(アドオン開発は原則行わない) |
| コア業務 | 独自の製造ノウハウや顧客サービスなど、競争力の源泉となる業務 | 必要に応じてアドオン開発や外部の専用システムとの連携を検討する |
| 不要な業務 | 過去の慣習で残っているだけの二重入力や過剰な承認プロセス | システム導入を機に業務そのものを廃止、または簡素化する |
経営層のコミットメントとプロジェクト体制の構築
ERPパッケージの導入・刷新は、企業全体の業務プロセスや従業員の働き方に大きな変化をもたらすため、情報システム部門単独で推進できるものではありません。部門間の利害対立や、新しいシステムに対する現場の抵抗感を乗り越えるためには、経営層の強力なリーダーシップとコミットメントが不可欠です。
経営層は、「なぜ今ERPを導入するのか」「導入によってどのような経営課題を解決し、企業価値を向上させるのか」という明確なビジョンを全社に発信し続ける必要があります。
また、実効性の高いプロジェクト体制を構築するためには、以下のような役割分担で横断的なチームを編成することが求められます。
- プロジェクトオーナー:経営層が務め、最終的な意思決定とリソース確保を担う
- プロジェクトマネージャー:全体を統括し、進捗管理や課題解決を推進する
- 業務リーダー:各事業部門の責任者やエース級の人材をアサインし、現場の業務要件を取りまとめる
- IT担当:情報システム部門が参画し、技術的な要件やセキュリティ、インフラ周りを担保する
このように、経営層と事業部門、情報システム部門が一体となったプロジェクト体制を構築することで、初めて全社最適の視点を持ったERP導入が実現します。ERPの真の価値を引き出し、データドリブンな経営へと変革を遂げるために、初期段階での入念な準備と体制づくりに注力してください。
ERPパッケージに関するよくある質問
ERPパッケージの導入期間はどのくらいですか?
一般的に数ヶ月から1年程度かかります。
クラウド型とオンプレミス型はどちらが良いですか?
初期費用を抑えたい場合はクラウド型が適しています。
自社に合う製品はどう選べばよいですか?
自社の業務プロセスとの適合率を確認して選びます。
導入の最大のメリットは何ですか?
全社データの統合による経営の見える化です。
導入後にカスタマイズは可能ですか?
製品によりますがアドオン開発で対応できる場合があります。
まとめ
ERPパッケージは全社データの統合や業務効率化を実現し、企業の成長を支える基盤です。システム乱立の課題を解決するためにも、自社の業務に合った製品選びが欠かせません。まずは自社の課題を洗い出し、最適なERPパッケージの情報収集から始めてみましょう。


