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経営方針とは?経営理念との違いをわかりやすく解説!初めてでもわかる策定5ステップ

 クラウドERP導入ガイド編集部

「経営方針」とは何か、経営理念との違いを明確に理解していますか?本記事では、その決定的な違いを結論から解説します。さらに、初めての方でも失敗しない経営方針の策定5ステップを、分析から目標設定、社員への浸透方法まで具体的にご紹介。国内企業の事例も参考に、組織の羅針盤となり全社員の力を結集させる、実用的な経営方針の作り方の全てがわかります。

まず結論から 経営方針と経営理念の決定的な違い

企業の成長を語る上で頻繁に登場する「経営方針」と「経営理念」。これらの言葉は似て非なるものであり、その違いを明確に理解することは、組織の方向性を定め、全従業員の力を結集させるために不可欠です。端的に言えば、経営理念が「企業のあり方」そのものを示すのに対し、経営方針は「理念を実現するための進み方」を具体的に示すものです。この章では、それぞれの言葉が持つ本質的な意味と、それらがどのように関連し合っているのかを分かりやすく解説します。

経営方針は「どう進むか」という行動指針

経営方針とは、経営理念やビジョンといった企業の最終目的地に到達するために、「どのような道筋で、どのようなルールに従って進むか」を定めた具体的な行動指針です。 これは、日々の業務における意思決定の基準となり、従業員一人ひとりの行動の拠り所となります。例えば、「顧客第一主義」という経営方針を掲げている企業であれば、製品開発からカスタマーサポートに至るまで、すべての活動において「顧客にとっての価値は何か」という視点が最優先されるでしょう。経営方針は、市場環境の変化や企業の成長段階に応じて見直されることもあり、経営理念よりも具体的で、より実践的な内容であることが特徴です。

経営理念は「なぜ存在するのか」という存在意義

経営理念とは、その企業が「何のために存在するのか」「社会に対してどのような価値を提供したいのか」という、最も根源的な存在意義や使命を明文化したものです。 創業者や経営者の強い想いや哲学が込められていることが多く、企業のあらゆる活動の土台となる価値観と言えます。 経営理念は、企業の憲法のように、時代が変わっても揺らぐことのない普遍的な考え方であり、従業員のモチベーションを高め、組織に一体感をもたらす重要な役割を担います。 例えば、パナソニック株式会社の綱領「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」は、事業活動を通じて社会に貢献するという、企業の根本的な使命を示した有名な経営理念です。

経営ビジョンや経営戦略との関係性も解説

経営方針と経営理念の違いを理解する上で、しばしば混同されがちな「経営ビジョン」や「経営戦略」との関係性も整理しておくことが重要です。これらの要素は、企業の向かうべき未来を描き、実現するための設計図として、相互に深く関連し合っています。

これらの関係は、一般的に以下のような階層構造で捉えることができます。

  1. 経営理念 (Mission/Philosophy): 企業の「存在意義」。すべての土台となる最上位の概念です。
  2. 経営ビジョン (Vision): 経営理念に基づき、企業が目指す「将来の理想像」。中長期的に達成したい具体的な姿を描いたものです。
  3. 経営方針 (Policy): 理念やビジョンを実現するための「基本的なルールや方向性」。組織全体が守るべき原則です。
  4. 経営戦略 (Strategy): 経営方針に則り、ビジョンを達成するための「具体的な計画や方策」。ヒト・モノ・カネといった経営資源をどのように配分するかを定めます。

これらの関係性を分かりやすく以下の表にまとめました。

用語 一言でいうと 役割と内容 時間軸 変更頻度
経営理念 存在意義 (Why) 企業が何のために存在するのかを示す根本的な価値観・使命。 永続的 ほとんど変わらない
経営ビジョン 理想像 (What) 経営理念に基づき、将来的に「こうなりたい」と描く企業の姿。 中〜長期的 (5〜10年) 社会や時代の変化に応じて見直されることがある
経営方針 行動指針 (How) 理念やビジョンを実現するための、組織全体が進むべき方向性やルール。 中期的 (3〜5年) 経営環境の変化に応じて見直される
経営戦略 具体的計画 (How to) 方針に基づき、ビジョン達成のための具体的な戦術や資源配分の計画。 短〜中期的 (1〜3年) 市場や競合の状況に応じて柔軟に変更される

このように、「経営理念」という揺るぎない北極星を定め、その星に向かうための「経営ビジョン」という目的地を描き、その道のりを安全かつ確実に進むための「経営方針」という羅針盤を持ち、具体的な航路計画である「経営戦略」を立てる、という関係性で理解すると、それぞれの役割がより明確になるでしょう。

失敗しない経営方針の策定 5つの基本ステップ

経営方針は、企業の未来を左右する重要な羅針盤です。しかし、その策定プロセスは複雑で、どこから手をつければよいか分からないという声も少なくありません。ここでは、初めての方でも失敗しない、実効性の高い経営方針を策定するための基本的な5つのステップを、具体的な手法も交えながら詳しく解説します。

ステップ1 外部環境と内部環境を分析する

優れた経営方針を策定するための第一歩は、自社が置かれている状況を客観的かつ正確に把握することです。思い込みや希望的観測を排除し、事実に基づいた分析を行うことで、戦略の精度が格段に向上します。この分析は、市場や競合の動向といった「外部環境」と、自社の強みや弱みといった「内部環境」の両面からアプローチすることが不可欠です。このプロセスを通じて、自社の立ち位置を明確にし、進むべき方向性を見出すための強固な土台を築きます。

SWOT分析などのフレームワークを活用

環境分析を効率的かつ網羅的に行うためには、フレームワークの活用が非常に有効です。最も代表的なものが「SWOT分析」であり、自社の状況を多角的に整理することができます。

SWOT分析の4要素

分類 要素 内容 具体例
内部環境
(自社の要因)
Strength(強み) 目標達成に貢献する自社の長所、特長 高い技術力、ブランド認知度、顧客ロイヤリティ
Weakness(弱み) 目標達成の障害となる自社の短所、課題 特定の取引先への高い依存度、人材不足、資金力
外部環境
(市場などの要因)
Opportunity(機会) 目標達成の追い風となる市場の変化、トレンド 市場の拡大、法改正による新規参入機会、技術革新
Threat(脅威) 目標達成の障害となる市場の変化、リスク 競合の台頭、景気後退、消費者のニーズ変化

SWOT分析以外にも、以下のようなフレームワークを組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になります。

  • PEST分析:政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの観点からマクロ環境を分析する手法。
  • 3C分析:顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から事業環境を分析し、成功要因を導き出す手法。
  • VRIO分析:自社の経営資源(リソース)が持つ競争優位性を、経済的価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)の観点から評価する手法。

ステップ2 企業の存在意義と中長期目標を明確にする

環境分析によって自社の現在地が明確になったら、次に見据えるべきは「どこへ向かうのか」という目的地です。このステップでは、企業の根幹をなす「経営理念(パーパス)」を再確認し、それに基づいた具体的で魅力的な中長期目標(経営ビジョン)を設定します。「私たちは何のために存在するのか」「社会にどのような価値を提供したいのか」という問いに立ち返り、企業の羅針盤となる存在意義を明確にすることが重要です。その上で、3年後、5年後、あるいは10年後に「どのような企業になっていたいか」という未来像を描き出します。

目標設定の際には、「SMARTの法則」と呼ばれるフレームワークを用いると、具体的で達成可能な目標を立てやすくなります。

SMARTの法則

要素 英語 意味
S Specific 具体的で分かりやすいか
M Measurable 測定可能か、数値で示せるか
A Achievable 達成可能か、現実的か
R Relevant 経営理念やビジョンと関連性があるか
T Time-bound 期限が明確に定められているか

例えば、「顧客満足度を向上させる」という曖昧な目標ではなく、「3年以内に、顧客満足度調査で5段階評価の平均4.5を獲得し、リピート率を20%向上させる」といったように、SMARTの法則に沿って設定することで、目標達成への道筋がより明確になります。

ステップ3 目標達成のための方針を言語化する

現状分析(ステップ1)と目標設定(ステップ2)が完了したら、いよいよ両者を結びつける「経営方針」を具体的な言葉に落とし込んでいきます。経営方針とは、設定した中長期目標を達成するために、「何を」「どのように」実行していくかを示す基本方針であり、企業活動の拠り所となるものです。この方針は、全社員が理解し、共感できるようなシンプルで力強い言葉で表現することが求められます。

例えば、以下のような視点で方針を言語化していきます。

  • ターゲット顧客:どのような顧客層に価値を提供していくのか?(例:「健康志向の強い30代女性層に特化する」)
  • 提供価値:競合ではなく自社が選ばれる独自の価値は何か?(例:「オーガニック素材のみを使用した、高品質な製品を提供する」)
  • 事業領域:どの市場、どの分野で戦うのか?(例:「国内のEC市場を中心に、アジア市場への展開も視野に入れる」)
  • 競争優位性:どのような強みを活かして競争に打ち勝つのか?(例:「長年培ってきた独自の製造技術を活かし、他社には真似できない製品開発を行う」)

これらの要素を組み合わせ、「高品質な製品を求める顧客層に対し、最新技術を活用した生産体制で、業界トップの品質を実現する」といったように、誰が読んでも解釈にブレが生じない、明確な文章として策定します。

ステップ4 各部門の行動計画へと具体化する

策定した経営方針が、単なる「お題目」で終わらないようにするためには、それを具体的な行動レベルにまで落とし込むことが不可欠です。全社的な経営方針を、営業部、開発部、製造部、管理部といった各部門の役割に応じた具体的な目標と行動計画(アクションプラン)にまで分解します。このプロセスにより、社員一人ひとりが「自分の仕事が会社のどの目標に繋がっているのか」を理解し、主体的に業務に取り組むことができます。

ここでは、方針の達成度を客観的に測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定することが極めて重要です。

経営方針からKPIへの展開例

階層 内容 具体例
経営方針 全社的な基本方針 「Web経由での新規顧客獲得を強化し、売上高を3年で150%にする」
部門目標 各部門が担うべき目標 【営業部】新規契約件数を前年比130%にする
【マーケティング部】Webサイトからの問い合わせ件数を前年比200%にする
KPI 目標達成度を測る指標 【営業部】アポイント獲得率、成約率
【マーケティング部】Webサイトのアクセス数、コンバージョン率
行動計画 具体的なアクション 【営業部】週20件の新規テレアポを実施する
【マーケティング部】月2回のWebセミナーを開催し、コンテンツを拡充する

このように、経営方針から個人の行動までが一貫して繋がることで、組織全体の力が同じ方向へと集約され、目標達成の確度が高まります。

ステップ5 定期的な見直しと改善のサイクルを計画する

経営を取り巻く環境は、目まぐるしいスピードで変化し続けています。そのため、一度策定した経営方針も、定期的に見直し、必要に応じて修正していく柔軟性が求められます。経営方針を一度作って終わりにするのではなく、継続的に改善していく仕組みを構築すること'markが成功の鍵となります。

この見直しと改善のプロセスで有効なのが、「PDCAサイクル」というフレームワークです。

  1. Plan(計画):経営方針と行動計画を策定する。
  2. Do(実行):計画に基づいて行動する。
  3. Check(評価):KPIなどを用いて、計画通りに進んでいるか、成果は出ているかを確認・評価する。
  4. Action(改善):評価結果をもとに、計画の修正や新たな改善策を立案し、次のサイクルに繋げる。

このPDCAサイクルを、四半期ごとや半期ごとなど、あらかじめ定めたタイミングで回していく体制を整えます。市場の変化や競合の動向、自社の状況などを踏まえて方針を柔軟にアップデートしていくことで、企業は持続的な成長を遂げることが可能になります。

経営方針を策定するメリットと注意点

経営方針は、策定して終わりではありません。組織全体に浸透させ、事業活動の羅針盤として機能させてこそ、その真価を発揮します。ここでは、経営方針を策定することで得られる具体的なメリットと、策定プロセスで見落としがちな注意点を詳しく解説します。

3つの大きなメリット 組織の一体感と迅速な意思決定

適切に策定され、全社員に共有された経営方針は、企業経営において強力な推進力となります。主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

メリット 具体的な効果
1. 組織の一体感(結束力)の醸成

全従業員が「会社が目指す方向」という共通認識を持つことで、部門や役職を超えた協力体制が生まれやすくなります。 従業員一人ひとりが自身の業務と会社全体の目標との繋がりを理解し、エンゲージメントやモチベーションの向上にも繋がります。 結果として、組織全体のパフォーマンスが最大化されます。

2. 迅速かつ一貫性のある意思決定

経営方針は、日々の業務における判断基準となります。 VUCA時代と呼ばれる現代ビジネス環境では、予測不能な事態が頻繁に発生しますが、明確な方針があれば、現場レベルでも迅速かつブレのない意思決定が可能になります。 これにより、経営のスピードが向上し、市場の変化に機敏に対応できるようになります。

3. ステークホルダーからの信頼獲得

顧客、取引先、株主、金融機関といった社外のステークホルダーに対して、自社の事業に対する姿勢や将来のビジョンを明確に示すことができます。 経営の透明性が高まることで、企業としての信頼性が向上し、良好な関係構築に繋がります。これは、資金調達や優秀な人材の確保においても有利に働く重要な要素です。

策定時に陥りがちな2つの罠

経営方針の策定は、企業の未来を左右する重要なプロセスですが、いくつかの落とし穴が存在します。特に注意すべき2つの点と、その対策について解説します。

陥りがちな罠 内容と対策
罠1:抽象的で行動に繋がらない

「顧客第一主義」「社会への貢献」といった言葉は立派ですが、それだけでは従業員が具体的に何をすればよいのか分かりません。 方針がスローガンで終わってしまい、現場の行動変容に繋がらないケースです。

対策:
経営方針を具体的な行動指針や数値目標(KPI)まで落とし込むことが重要です。 例えば、「顧客第一主義」であれば、「顧客満足度アンケートで前年比5%向上を目指す」「製品に関する問い合わせへの24時間以内返信率100%を達成する」など、誰が見ても何をすべきか明確にわかるレベルまで具体化しましょう。

罠2:経営層だけで策定し現場に浸透しない

経営陣だけで策定した方針をトップダウンで通達するだけでは、従業員は「やらされ感」を抱いてしまい、共感を得ることは困難です。 どれだけ優れた方針であっても、従業員に自分ごととして捉えられなければ形骸化してしまいます。

対策:
方針策定のプロセスに従業員を巻き込む、あるいは方針決定の背景や経営者の想いを直接語る場を設けるなど、双方向のコミュニケーションが不可欠です。 全社集会やワークショップの開催、社内報での特集などを通じて、丁寧に説明し、納得と共感を得る努力が浸透の鍵となります。

全社員が共感する経営方針の伝え方とは

優れた経営方針を策定しても、それが社員一人ひとりに浸透し、共感を得られなければ「絵に描いた餅」で終わってしまいます。経営方針は、組織の隅々にまで行き渡り、日々の業務における判断基準となって初めて真価を発揮するのです。ここでは、全社員の心を動かし、一体感を醸成するための効果的な伝え方について、具体的な手法を解説します。重要なのは、一方的な「伝達」ではなく、双方向の「対話」を通じて共感を育むプロセスです。

ストーリーテリングを活用する

人は論理だけでなく、感情によって動かされる生き物です。経営方針に込められた想いや背景、そして目指す未来を魅力的な「物語」として語ることで、社員の心に深く刻み込むことができます。単なる目標数値の羅列ではなく、なぜこの方針を掲げるのか、その先にはどのような素晴らしい未来が待っているのかを、経営者自身の言葉で情熱を込めて語りかけることが不可欠です。

例えば、以下のような要素を盛り込むことで、ストーリーはより魅力的になります。

  • 創業の原点や企業の歴史:私たちはどこから来たのか
  • 直面した困難とそれを乗り越えた経験:どのような試練を乗り越えてきたのか
  • 経営方針が生まれた背景:なぜ今、この方針が必要なのか
  • 実現したい未来のビジョン:この方針を通じて顧客や社会にどのような価値を提供したいのか
  • 社員への期待:物語の主人公として、社員一人ひとりにどのような役割を担ってほしいのか

こうした物語を通じて、社員は自社に誇りを持ち、自身もその壮大な物語の一員であると自覚することで、経営方針を「自分ごと」として捉えるようになります。

定期的な対話の場を設ける

ストーリーテリングが「心に火をつける」役割だとすれば、対話は「その火を絶やさず、大きく育てる」ための重要なプロセスです。経営陣からの一方的な発信だけでは、社員の疑問や不安を解消することはできません。定期的に双方向のコミュニケーションの機会を設け、経営方針についてオープンに語り合う場を作ることが、真の理解と納得感につながります。

具体的な対話の場としては、以下のようなものが挙げられます。

  • タウンホールミーティング(全社会議):経営陣が直接、全社員に対して経営方針を説明し、質疑応答の時間も十分に確保します。
  • 部門別ワークショップ:全社的な経営方針を、各部門の具体的な業務や目標にどう落とし込むかを議論します。自分たちの仕事とのつながりを実感できる貴重な機会となります。
  • 1on1ミーティング:上司と部下が1対1で、経営方針と個人のキャリアプランや目標設定について話し合います。これにより、会社が目指す方向と個人が目指す方向のベクトルを合わせることができます。

これらの場で大切なのは、社員からのどんな小さな声にも真摯に耳を傾け、丁寧に応える姿勢です。経営方針への疑問や懸念を率直に口にできる風通しの良い組織風土を醸成することが、浸透を加速させます。

多様なチャネルで継続的に発信する

人の記憶は時間と共に薄れていくものです。経営方針の発表会を一度きり行っただけでは、すぐに日常の業務に埋もれてしまいます。社員がいつでもどこでも経営方針に触れられるよう、多様なメディア(チャネル)を活用し、繰り返し、手を変え品を変え、粘り強く発信し続けることが極めて重要です。

チャネルごとの特徴と発信内容の例を以下に示します。

チャネル 特徴 発信内容の例
社内報・イントラネット ストック型の情報として、いつでも見返せる。詳細な情報提供に向いている。 経営方針の全文、策定の背景、Q&A、経営陣からのメッセージ、関連動画コンテンツなど。
動画メッセージ 経営者の表情や声のトーンから、情熱や想いが伝わりやすい。 経営方針発表時のプレゼンテーション動画、定期的な進捗報告メッセージなど。
ポスター・社内サイネージ 日常的に社員の目に触れることで、無意識のうちに刷り込む効果がある。 経営方針を象徴するスローガンやキーワード、ビジュアルイメージなど。
朝礼・定例会議 日々の業務と関連付けながら、繰り返し確認する機会となる。 「今週の重点目標は経営方針のこの部分につながります」といった具体的な言及。
クレドカード 常に携帯できるため、行動指針として日々の判断の拠り所になる。 経営方針の要約や、社員に期待される行動を記したカード。

評価制度や日常業務と連動させる

最も強力な浸透策は、経営方針を「ただのスローガン」ではなく、「実際の評価や業務に直結するもの」として位置づけることです。経営方針で示された方向性と、社員の具体的な行動や成果が人事評価制度において明確に結びついている状態が理想です。

例えば、以下のような仕組みを導入することが考えられます。

  • 評価項目への反映:人事評価の項目に「経営方針の理解度」や「方針に沿った行動の実践度」などを組み込む。
  • 表彰制度の設立:経営方針を特に優れた形で体現した社員やチームを「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)アワード」などの形で表彰し、その行動を全社で称賛する。
  • 目標設定(OKR/MBO)との連動:個人の目標設定において、必ず経営方針との関連性を記述させ、上司がその整合性を確認するプロセスを設ける。

こうした仕組みを通じて、社員は「経営方針を実践することが、自らの評価や成長に直接つながる」と認識し、より主体的かつ積極的に方針に沿った行動を取るようになります。

まとめ

本記事では、経営方針と経営理念の明確な違いから、具体的な策定ステップまでを解説しました。経営方針は企業の「どう進むか」を示す行動指針であり、存在意義である経営理念とは異なります。SWOT分析などを活用した5つのステップで策定することで、組織に一体感が生まれ、迅速な意思決定が可能になります。策定した方針を全社員に浸透させ、変化の激しい時代を乗り越えるための羅針盤として活用しましょう。

この記事を書いた人
クラウドERP導入ガイド編集部
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