ERP導入事例15選|中堅・中小企業のSAP導入に学ぶ成功のポイント

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この記事で分かること

  • 中堅・中小企業を中心とした15社のERP導入事例と、導入前の課題・導入後の効果
  • ERP導入前に企業が抱えやすい課題の4つのパターン
  • ERP導入で失敗しやすいケースと、成功させる5つのポイント
  • ERP導入で効果が出やすい企業の特徴

ERP導入事例を見ていくと、成果を上げた企業には共通点があります。経営層が先頭に立って導入の目的をはっきりさせ、システムの標準的な業務プロセスに自社を合わせていったことです。本記事では、SAPのERPを導入した15社の事例を、導入前の課題と導入後の効果に分けて紹介します。あわせて、失敗しやすいケースと成功のポイントも解説します。自社に近い事例を探しながら、導入の進め方を考える材料にしてください。

本記事の事例について

本記事で紹介する15社の事例は、当サイトで公開している資料「中堅・中小企業版】SAP ERP導入による経営改革成功事例集」から、要点を抜粋してまとめたものです。

資料では、各社が導入前に抱えていた課題、プロジェクトの進め方、導入後の効果を詳しく紹介しています。うまくいかなかった点から得た教訓も載っているので、自社で導入を進める際の判断材料として活用できます。

記事では各社の概要をつかみ、気になった事例は資料で詳しく確認してみてください。資料は無料でダウンロードいただけます。

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ERP導入前に企業が抱えていた課題

15社が導入前に抱えていた課題は、大きく4つに分けられます。どれも、部門や拠点ごとに情報が分かれていて、経営に必要な数字がすぐに出せないことが根っこにあります。自社の状況に近い課題から、該当する事例を読んでみてください。

導入前の課題 主な状況 該当する事例
システムやデータが部門・拠点ごとに分かれている 情報共有が遅れる、データ連携に手間がかかる、経営情報を一元化できない オプテックス、ニチバン、TOA、遠藤照明、小木曽工業
在庫や原価が正しく見えない 不動在庫が増える、製品別・販路別の損益がわからない 赤城乳業、マツモトプレシジョン、ファインネクス
手作業や古いシステムが成長の足かせになっている オフコンや手作業では業務量に追いつかない、改修のたびに費用がかかる ヨコオ、テクノホライゾン、河北ライティングソリューションズ、ナミックス、サンゲツ
事業環境の変化に業務が追いつかない 業界構造の変化、サービスの差別化不足、海外展開への対応 SOLIZE、柏木工機、ナミックス

システムやデータが部門・拠点ごとに分かれている

最も多かった課題は、部門や拠点ごとに別々のシステムを使っていたことです。データがつながっていないため、集計や照合に時間がかかり、経営判断が遅れます。

オプテックスでは拠点ごとにシステムが異なり、情報共有の遅れや需要予測の難しさにつながっていました。TOAも国内外で別々のシステムを使っていたため、経営情報を一元化できていませんでした。

在庫や原価が正しく見えない

在庫や原価が見えないと、利益の出ている商品とそうでない商品を区別できません。製造業では特に、不動在庫や原価のばらつきが利益を圧迫します。

赤城乳業は不動在庫と原価管理に課題を抱えていました。ファインネクスは製品別・販路別の損益が把握できず、生産調整にも多くの時間がかかっていました。

手作業や古いシステムが成長の足かせになっている

事業が伸びるほど、手作業や古いシステムでは処理が追いつかなくなります。改修のたびに費用がかかる仕組みも、成長の妨げになります。

ヨコオは複雑化したサプライチェーンをオフコンと手作業で回しており、成長に耐えられない状態でした。ナミックスは、ハードウェアやOSを変えるたびにアプリケーションの改修が必要でした。

事業環境の変化に業務が追いつかない

市場や業界の変化に合わせて事業を変えるには、業務の仕組みも変えられる必要があります。

SOLIZEは自動車業界の構造変化を受け、業務プロセスの標準化とデジタル基盤の整備を課題としていました。柏木工機は、サービスの差別化やデータ活用の不足を課題に挙げていました。

ERP導入事例15選!活用を失敗しないための勘所を紹介

企業の成長と効率化を図るためには、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)の導入が非常に有効です。以下では、ERP導入に成功した企業の事例を紹介し、各社がどのような課題を解決し、どのように活用しているのかを具体的に解説します。

事例1.赤城乳業株式会社

赤城乳業株式会社は「ガリガリ君」で知られる、老舗の中堅アイスメーカーです。同社は利益を圧迫する不動在庫と不十分な原価管理に悩まされていました。特に、4~9月の売上が大部分を占めるという製品の特性上、春先から備蓄在庫を増やして夏場の需要に対応する必要がありました。

この課題を解決するために、同社は2014年1月にSAP ERPを導入しました。これによりPSI(生産、販売、在庫)管理が強化され、不動在庫の削減を実現すると同時に、原価管理の徹底によってコスト削減も達成しました。

結果として在庫管理や原価管理が効率化され、事業全体のパフォーマンスが向上したことで、同社の売上高は2010年の300億円弱から2023年には570億円に倍増しました。

赤城乳業株式会社
「不動在庫の削減と売上2倍を実現した「強小カンパニー」の挑戦」
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事例2.マツモトプレシジョン株式会社

マツモトプレシジョン株式会社は、プレス加工を専門とする企業で、高品質なプレス部品を製造しています。多様な製品ラインアップと高い技術力で、幅広い業界に対応しています。

同社では従来、生産管理や在庫管理が手動で行われており、効率性の低下やデータの不正確さが問題となっていました。そこで2021年にSAP ERPを導入し、生産管理、在庫管理、財務管理など、企業全体の業務プロセスの統合を図りました。

その結果、生産計画の最適化や在庫管理の効率化を達成したほか、データの一元管理によってリアルタイムでの情報共有ができるようになり、意思決定の迅速化も実現しました。

ERP導入後、売上総利益は30%、営業利益率は3%改善し、全従業員の基本給与は4%アップしています。

事例3.オプテックス株式会社

オプテックス株式会社は、人感センサーや自動ドアセンサーの分野で国内外に展開する精密機器メーカーです。独自技術を活かし、セキュリティやIoT関連製品で高いシェアを誇ります。しかし、急速な海外展開と事業多角化で、拠点ごとの異なるシステム運用による情報共有の遅れや手間が発生し、在庫管理の非効率や需要予測の難しさが問題でした。

そのため、オプテックスは2018年にSAP ERPを導入しました。導入は、経営層の強いリーダーシップのもと、トップダウンで推進されました。導入後は、統一されたグローバル基幹システムを構築し、販売や在庫、財務データをリアルタイムで可視化することに成功し、需要予測の精度向上や在庫削減を実現しました。

SAP ERPを導入したことで上記の課題を克服し、5名の人員の効率化、および業務担当一人あたりの売上高の34%増加を達成しています。

ERP導入前に社内で確認すべき「50+5」の質問

事例4.株式会社サンゲツ

株式会社サンゲツは、建材メーカーとして知られ、多様な建築材料を提供しています。しかし、従来のシステムでは、業務効率の向上やコスト削減が難しく、業務プロセスの最適化が求められていました。

そこで同社では2018年にSAP ERPを導入しました。これにより、生産管理、在庫管理、財務管理などの業務プロセスを一元化し、業務効率を大幅に向上させました。また、データの透明性が高まり、リアルタイムでの情報共有を実現しました。その結果、生産計画の精度が向上して、在庫の最適化が図れるようになり、在庫管理のコスト削減、経営効率の大幅な向上を達成しています。

ERP導入の効果としては、単体月次決算・四半期決算の短縮、部門全体の残業時間の短縮、EDI比率の増加(40%から65%に)などが挙げられます。

株式会社サンゲツ
「ビジネスの多様化・多角化を推進するサンゲツを支えるSAP ERP」
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事例5.ニチバン株式会社

ニチバン株式会社は、粘着テープの国内トップメーカーで、医療材や文具、産業資材などの開発・製造・販売といった多岐にわたる事業を展開しています。同社は、2030年を見据えた中長期ビジョン「NICHIBAN GROUP 2030 VISION」に基づき、グローバルな経営基盤の構築を目指していました。しかし、部門ごとに独立したシステムによって、データ連携に手間がかかるなど、迅速な意思決定が困難な状況でした。

2019年にSAP S/4HANAを中心としたグローバルERPパッケージを導入し、1年間という短期間で本稼働を開始しました。その結果、国内外のシステムが統一され、データの一元化と業務プロセスの標準化が達成できました。これにより、評価指標の統一化や人材の流動性を高めるための土台が整いました。

また、今まで見えていなかった工程ごとの実際原価などが見える化されたことで、業務・運用改善が進み、その先にある組織レベルでの働き方改善の実現にも期待が持たれています。

ニチバン株式会社
「過去の失敗を糧に戦略的な意思決定に向けて歩み始めた老舗企業の格闘」
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事例6.株式会社遠藤照明

株式会社遠藤照明は、「個と組織の調和と永続」を重視しており、後発ながら高い評価を得ている照明器具の専門メーカーです。同社は拠点数の増加や海外取引の増加に伴い、業務の統一化と決算の迅速化が課題となっていました。

そこで、2009年にSAP ERPの導入プロジェクトを開始しました(稼働開始は2011年)。プロジェクトには、情報システム部や営業事務、経理部門のメンバーが参加し、タイ・中国の子会社にも展開しました。

ERPの導入により、同社は決算スピードを向上させ、その結果、経営陣の迅速な意思決定が実現しました。また、データの一元化による属人化を解消しました。さらに、海外子会社との情報共有が迅速かつ正確に行われるようになり、管理指標の信頼度も向上しました。

株式会社遠藤照明
「子会社情報一元管理を実現し一層顧客ニーズに応える「光」専門メーカーへ」
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事例7.TOA株式会社

TOA株式会社は、業務用の音響機器やセキュリティ機器を製造している専門メーカーで、国内外に多くの拠点があり、グローバルに展開しています。SAP ERPは1999年から段階的に導入を開始し、2015年には海外拠点へも展開しました。

導入前は、国内外で異なるシステムを利用していたため、経営情報の一元化が困難でしたが、採用後はリアルタイムでのデータ共有が実現し、月次でしか得られなかった経営指標が日次で把握できるようになりました。これにより、経営のスピード感が向上し、内部統制や法改正などへの迅速な対応も実現。また、「地産地消」を推進しつつも、世界共通の基準を整備することで、グローバル経営の基盤が強化されました。

 TOA株式会社「導入から20年超、SAP ERPアーリーアダプター企業の軌跡」
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事例8.株式会社ヨコオ

株式会社ヨコオは、車載通信用のアンテナ製品や医療機器用デバイス製品などを製造・販売するグローバル企業です。同社では複雑化したSCM(サプライチェーンマネジメント)を支えるため、SAP ERPの導入を決定しました。

ヨコオはグローバル市場での競争力強化を目指していましたが、当時のIT基盤はオフコンと手作業での対応に依存しており、成長に耐えられる仕組みが必要でした。そこで2007年にSAP ERPを導入し、全社的な情報基盤の確立を目指しました。

ERPの導入により、内部統制への対応が評価され、監査法人とのやり取りもスムーズになりました。また、グローバルなSCM情報基盤が確立され、コミュニケーションが円滑になりました。さらに、手作業による会社間の売買照合・調整業務が撤廃され、コスト削減も実現しました。

事例9.ファインネクス株式会社

ファインネクス株式会社は、冷間鍛造部品の製造を行う企業で、日本一小さな村である富山県舟橋村から世界市場を目指しています。同社は、主力製品であったPGAピンが市場から消えるという危機に直面し、経営の全体最適化を図るためにSAP ERPを導入しました。

同社では、管理会計の仕組みが不十分で、製品や販路ごとの損益が把握できないという問題を抱えていました。また、個別最適により各部門の進捗・生産管理が難しく、生産調整に多くの時間を費やしていました。

そこで、2015年にSAP ERPの導入を決定しました。全体最適を重視したトップダウンのアプローチによって社長がリーダーとなり、情報システム部門とユーザー部門が協力して進められました。

導入後は生産管理の統合が実現し、在庫状況や進捗の可視化が実現しました。また、品目別の実績原価計算により、黒字・赤字商品が把握できるようになり、経営管理の軸が変化しました。さらに、部門間の情報共有が改善され、全体の生産性が向上しました。

 ファインネクス株式会社
「日本一小さな村から挑戦する、SAP ERPによる経営の「型」作り」
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事例10.テクノホライゾン株式会社

テクノホライゾン株式会社は、受託開発型製造業から自社ブランド製品の製造や教育事業に転換し、経営改革を進めるなかでSAP ERPを導入しました。導入前、同社はプロジェクトごとの業務プロセスの複雑化や手作業による管理に悩んでおり、リアルタイムな経営意思決定ができない状況でした。

ERP導入の目的は、全体最適を目指し、経営指標をリアルタイムで把握することにありました。2008年に導入後、企業全体の業務が統合されたことで、経営層は迅速な意思決定が可能となり、M&Aや事業撤退など、大胆な経営戦略を実行できるようになりました。導入ベンダーを使わず自社導入を行ったことで、初期導入コストやランニングコストも抑えられ、スピード感のある経営基盤が整いました。

テクノホライゾン株式会社
「ERPという経営手法を活用し、ベンチャー精神とともに成長」
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事例11.河北ライティングソリューションズ株式会社

河北ライティングソリューションズ株式会社は特殊光源の専門メーカーで、医療用光源で世界シェア70%を誇っています。同社では、既存のシステムに機能的な限界を感じていました。そこで、グローバルビジネスの成長を見据えた経営基盤の構築や、一元データに基づいた迅速な意思決定などを見据えてSAP ERPを導入しました。

2016年にSAP ERP導入を開始したことで、タイムリーな経営判断に資する情報の抽出やデータの一元化による発注・在庫管理業務の簡素化、業務効率化と月次決算早期化、情報セキュリティの強化・ペーパーレス化などの効果が得られました。

河北ライティングソリューションズ株式会社
「光の力でグローバルビジネスに展開するエクセレントカンパニーへの改革」
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事例12.SOLIZE株式会社

SOLIZE株式会社は1990年の創業以来、デジタルモノづくりを革新し続けている企業です。同社では、顧客の大半を占める自動車業界の構造変化により、次のステージへの成長を見据えた企業体制の再構築が求められていました。なかでも業務プロセスの標準化とデジタル基盤の整備が大きな課題でした。

そこで、変化する社会や産業のニーズに対応し、次の30年の成長を見据えた経営基盤強化のため、2020年からSAP ERPを導入しました。

その結果、部門間での業務プロセス統一と標準化が図られ、属人化の解消と共通言語の確立が実現しました。業務プロセスの変更時にもスムーズに連携できるようになり、間接業務の社内シェアード化が進みました。また、デジタルデータの活用により、次の成長に向けた経営基盤の強化を実現しました。

SOLIZE株式会社
「デジタル基盤の整備で、コーポレートトランスフォーメーションは次のフェーズへ」
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事例13.ナミックス株式会社

ナミックス株式会社は、エレクトロケミカル材料の研究・開発、製造を主たる業務とする企業です。

同社では、顧客である電子部品メーカーやコンピューターメーカーが海外進出するなかで、台湾拠点設置を視野に入れていましたが、既存の基幹システムではハードウェアやOS変更のたびにアプリケーションの改修が必要なことが問題でした。そこで、業務の標準化と効率化、グローバル市場での競争力強化を目指して、2010年にSAP ERPを導入し、2012年に本番稼働、その後、台湾拠点にもスムーズに導入されました。

導入後は受注から出荷までの情報をタイムリーに把握できるようになり、業務の標準化が進みました。また、顧客からの信頼度も向上し、営業面でも効果を実感しています。さらに、システムの拡張性や柔軟性により、ビジネスの変化に迅速に対応できるようになりました。

ナミックス株式会社
「創造と革新の理念を基軸にSAP ERP導入を図りグローバル競争力強化を実現」
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事例14.柏木工機株式会社

柏木工機株式会社は、機械工具の専門商社です。2016年に社長に就任した柏木秀太氏は、経営改革と営業改革を並行して進め、ビジネスモデルの転換を図っています。

同社は、他社との差別化が図れないサービス、データ活用の不足、顧客セグメントの見直しなどが課題でした。これらの解決に向け、2016年からSAP Commerce Cloud(CX)とSAP Business ByDesign(ByD)の導入を検討し、2018年にByDを導入しました。

導入により、インサイドセールスの業務効率化が図られ、人員を33名から26名に減少できました。また、リモートワーク化が進んだことで、FAX受注で出社が必須ではなくなり、リモートワークが100%可能となりました。取引先の満足度も向上し、ECサイトの利用者からもポジティブな声が寄せられています。

柏木工機株式会社
「老舗機械工具専門商社の果敢なビジネスモデル改革と顧客接点強化の威力」
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事例15.小木曽工業株式会社

小木曽工業株式会社は、硬質クロムめっき処理や転造ボールねじ、機械加工品などを製造している、80年以上の歴史を持つ企業です。

2015年当時、同社は既存事業が安定しているものの利益率が低く、必要な品目を適正なタイミングで得意先へ届けられない状況でした。また、一元化されたデータがなく、経営陣は困難な舵取りを余儀なくされていました。

そこで会社経営と現場で詳細なデータを共有し、タイムリーな運営判断を行って効率的なモノづくりができるように、2016年1月にSAP ERPの導入プロジェクトを開始、同年10月にシステムが稼働しました。

これにより、月次決算の締め日数が7日間から3日間に短縮され、生産計画の精度が向上し、ピーク対応能力も向上しました。また、業務プロセスの標準化で業務効率が大幅に向上し、従業員の残業時間も削減されました。さらに、生産量・材料発注量の過不足が減少し、顧客満足度も向上しました。

小木曽工業株式会社
「環境変化への迅速な対応を果たしたモノ作り会社の抜本的経営改革」
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失敗しない導入のためのERP指南書中堅中小企業の導入事例付き、3点セット!

ERP導入で失敗しやすいケース

ERP導入の失敗は、システムそのものより、進め方に原因があることがほとんどです。代表的な5つのケースを知っておくと、事例の企業がどこで工夫していたのかが読み取りやすくなります。

失敗しやすいケース 起きること
導入の目的があいまい 導入すること自体が目的になり、稼働後に効果を測れない
今の業務に合わせてカスタマイズしすぎる 開発費と期間が膨らみ、バージョンアップのたびに改修が必要になる
経営層が関わらず現場任せになる 部門間の調整が進まず、全体最適にならない
現場が計画に参加していない 稼働後に使われず、Excelや手作業が残る
導入後の定着や活用まで考えていない データが入力されるだけで、経営判断に使われない

導入の目的があいまい

何のために導入するのかが決まっていないと、製品選びも稼働後の評価もぶれます。業務の効率化なのか、経営数字の見える化なのかを、導入前に言葉と数値で決めておくことが大切です。

今の業務に合わせてカスタマイズしすぎる

今の業務のやり方をそのままシステムで再現しようとすると、追加開発が増えます。開発費と期間が膨らむだけでなく、バージョンアップのたびに改修が必要になり、長く費用がかかります。

経営層が関わらず現場任せになる

ERPは部門をまたいで業務を変えるため、部門ごとの判断だけでは決められないことが多くあります。経営層が関わらないと調整が止まり、部門ごとの部分最適で終わってしまいます。

現場が計画に参加していない

実際にシステムを使う現場の意見が入っていないと、稼働後に使われにくくなります。結果として、Excelや手作業が並行して残り、二重管理になります。

導入後の定着や活用まで考えていない

稼働をゴールにしてしまうと、データは入力されても経営判断には使われません。導入後に、どの数字をどの会議で使うのかまで決めておく必要があります。

失敗の原因と対策は、関連記事のERP導入はなぜ失敗する?よくある原因とリスクを減らす対応策で詳しく解説しています。

ERP導入を成功させるポイント

15社の事例に共通しているのは、経営層が先頭に立ち、目的をはっきりさせたうえで、標準の業務プロセスに自社を合わせていったことです。事例から読み取れる5つのポイントを紹介します。

ポイント 事例での取り組み
導入の目的と目標を先に決める ファインネクスは、製品別・販路別の損益が見えないという課題に対し、品目別の実績原価計算を実現した
経営層がトップダウンで進める オプテックス、ファインネクスは経営層のリーダーシップで推進した
現場のメンバーをプロジェクトに入れる 遠藤照明は、情報システム部、営業事務、経理のメンバーが参加した
Fit to Standardで標準の業務に合わせる 標準の業務プロセスを採用し、追加開発を減らす
段階的・短期間で稼働させる TOAは段階的に導入し、ニチバンは約1年、小木曽工業は約9か月で稼働した

導入の目的と目標を先に決める

成功した企業は、導入で何を解決するのかを明確にしていました。目的が決まっていると、必要な機能や優先順位がぶれません。

ファインネクスは、主力製品の市場がなくなる危機の中で、製品別・販路別の損益が把握できないという課題を抱えていました。ERPの導入で品目別の実績原価を計算できるようになり、黒字商品と赤字商品を見分けられるようになっています。

経営層がトップダウンで進める

ERP導入は全社の業務を変えるプロジェクトなので、経営層が意義を示し、最後まで関わることが欠かせません。

オプテックスは経営層の強いリーダーシップのもとで統一の基幹システムを導入し、業務担当1人あたりの売上高を34%伸ばしました。ファインネクスでも社長が導入を率い、情報システム部門とユーザー部門が協力して全体最適を進めました。

現場のメンバーをプロジェクトに入れる

実際にシステムを使う部門がプロジェクトに入ると、業務に合った設定になり、稼働後の定着も早くなります。

遠藤照明では、情報システム部に加えて営業事務と経理のメンバーが参加しました。決算のスピードが上がり、データの一元化によって業務の属人化も解消されています。

Fit to Standardで標準の業務に合わせる

Fit to Standardは、システムに合わせて自社の業務を見直す考え方です。追加開発を減らせるため、導入期間と費用を抑え、バージョンアップにも対応しやすくなります。

自社の業務にシステムを合わせるFit&Gapは、追加開発が増えやすく、時間と費用がかかる原因になります。標準に合わせることは現場の負担にもなりますが、業務そのものを変えるには必要な考え方です。

段階的・短期間で稼働させる

一度にすべてを切り替えず、範囲を区切って早く稼働させると、効果を早く確かめながら進められます。

TOAは国内から段階的に導入し、のちに海外拠点へ広げました。ニチバンは約1年、小木曽工業は約9か月で本稼働しており、小木曽工業では月次決算の締め日数が7日から3日に短くなっています。

中堅成長企業向け:ITを活用した業務改革ロードマップ

ERP導入を検討すべき企業の特徴

次のような状態に当てはまる企業は、ERPの導入で効果が出やすいといえます。15社の多くも、導入前は同じ状態にありました。

  • 部門や拠点ごとに別々のシステムやExcelを使っていて、数字の集計に時間がかかる

  • 月次決算の締めに時間がかかり、経営判断に使う数字が出るのが遅い

  • 在庫や原価が正しく把握できず、どの製品で利益が出ているのかわからない

  • 業務が特定の担当者に頼っていて、その人がいないと回らない

  • 海外拠点の開設やM&Aなど、事業の拡大を予定している

  • 今のシステムが古く、改修や保守の費用が年々増えている

決算や経営判断に時間がかかっている

決算の締めが遅いと、経営判断も遅れます。サンゲツや河北ライティングソリューションズ、小木曽工業は、ERPの導入で月次決算を早めています。

在庫や原価が見えていない

在庫と原価が見えないまま事業を続けると、気づかないうちに利益が削られます。赤城乳業は不動在庫とコストを減らし、マツモトプレシジョンは売上総利益を30%改善しました。

事業の拡大を予定している

拠点や事業が増えるほど、バラバラの仕組みでは管理が追いつかなくなります。遠藤照明やナミックスは海外拠点への展開を見据えてERPを導入し、拠点をまたいで同じ基準で業務を回せるようにしました。

当てはまる項目が多いほど、ERPで解決できる課題が多いといえます。まずは自社の課題を書き出し、近い事例を読み比べるところから始めてみてください。

まとめ

ERPは、企業の業務プロセスを統合し、業務の効率化やスピーディーな情報共有を実現するために重要なツールです。ERPをうまく活用することで、迅速な意思決定を行い、将来の成長に向けた経営基盤の強化を図れます。

ERP導入を成功させるには、トップダウンでの強い推進力や「Fit To Standard」の概念を採用することが重要です。自社特有の業務に合わせるのではなく、標準化されたプロセスに合わせることで、長期的に柔軟で安定した運用が可能です。SAPの「GROW with SAP」は中堅・中小企業にも適したERPソリューションであり、スピーディーかつ確実な経営革新をサポートします。

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