サプライチェーンリスクとは?種類や事例、企業の対策方法を徹底解説

 クラウドERP導入ガイド編集部

近年、自然災害や地政学的緊張、サイバー攻撃などにより、サプライチェーンが寸断されるリスクが高まっています。サプライチェーンリスクへの対応は、企業の事業継続において避けては通れない経営課題です。本記事では、リスクの定義や種類、実際の事例を交えながら、企業が取るべき対策を徹底解説します。結論として、リスクを最小限に抑え迅速な意思決定を行うためには、サプライチェーン全体の可視化と、それを実現するERPの導入が不可欠です。

この記事で分かること

  • サプライチェーンリスクの定義と近年注目される背景
  • 自然災害やサイバー攻撃など、具体的なリスクの種類と事例
  • 調達先の多角化やBCP策定など、企業が取るべき対策方法
  • サプライチェーンリスク管理にERPが求められる理由

自社の供給網を強靭化し、不測の事態にも柔軟に対応できる体制づくりの参考にしてください。

サプライチェーンリスクとは

サプライチェーンリスクの全体像 グローバル化・複雑化 自然災害・異常気象 地政学的な緊張 サイバー攻撃 不確実性の高まり 調達 製造 物流 販売 【想定リスク】 供給元の操業停止 原材料価格の高騰 【想定リスク】 工場設備の故障 深刻な労働力不足 【想定リスク】 交通網の寸断 燃料高騰・輸送遅延 【想定リスク】 需要予測の大きな誤差 顧客情報の漏えい 全社的な視点でのリスク管理とレジリエンス(強靱性)の構築 サプライチェーン全体を正確に把握し、迅速な意思決定を行える基盤づくりが不可欠

企業活動がグローバル化し、ビジネス環境が複雑さを増す現代において、製品やサービスを安定的に市場へ供給するための基盤づくりは経営の最重要課題の一つです。ここでは、サプライチェーンリスクの基本的な概念と、なぜ今多くの企業がその対策に注力しているのかを解説します。

サプライチェーンリスクの定義と重要性

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売を経て、最終消費者に製品が届くまでの連なる「供給網」を指します。そしてサプライチェーンリスクとは、この一連のプロセスのどこかでトラブルが発生し、製品やサービスの安定供給が阻害されるあらゆる脅威のことです。

年商が数百億円から数千億円規模に達する中堅企業においては、サプライチェーンは国内外の複数の拠点や取引先をまたぐため、非常に複雑な構造となります。そのため、ある一つの工程で発生した問題が連鎖的に拡大し、結果として大規模な出荷遅延や機会損失を引き起こす可能性があります。経営層や事業責任者にとって、一部門の最適化にとどまらない全社的な視点でのリスク管理は、企業の存続と直結する重要なテーマとなっています。

プロセス 概要 想定されるリスクの例
調達 原材料や部品の仕入れ 供給元の操業停止、原材料価格の高騰
製造 製品の生産・加工 工場設備の故障、深刻な労働力不足
物流 製品の保管・配送 交通網の寸断、燃料費の高騰や輸送遅延
販売 顧客への提供 需要予測の大きな誤差、顧客情報の漏えい

近年サプライチェーンリスクが注目される背景

近年、サプライチェーンリスクへの対応が急務とされている背景には、ビジネス環境の急激な変化と不確実性の高まりがあります。その主な要因として、以下の点が挙げられます。

  • グローバル化によるサプライチェーンの複雑化とブラックボックス化
  • 大規模な自然災害や異常気象の頻発
  • 地政学的な緊張の高まりによる貿易制限や物流網の寸断
  • デジタル化の進展に伴うサイバー攻撃の高度化

これまでは、コスト削減や業務効率化を最優先とし、在庫を極力持たない手法が多くの企業で採用されてきました。しかし、予期せぬ事態が発生した際の脆弱性が浮き彫りとなり、現在では効率性だけでなく、変化に柔軟に対応できる強靱性(レジリエンス)の構築が強く求められています。

実際に、経済産業省の通商白書など公的な報告書においても、グローバルサプライチェーンの脆弱性を克服し、危機管理体制を強化することの重要性が繰り返し指摘されています。企業が激しい環境変化を乗り越え、持続的な成長を遂げるためには、サプライチェーン全体を正確に把握し、迅速な意思決定を行える基盤づくりが不可欠となっています。

サプライチェーンリスクの主な種類

サプライ チェーン リスク 自然災害 【主な要因】 地震・台風・洪水 【影響】 物流停止・工場損壊 地政学的 【主な要因】 紛争・貿易摩擦 【影響】 調達困難・関税引上げ サイバー 【主な要因】 マルウェア・不正アクセス 【影響】 システム停止・情報漏えい 感染症 【主な要因】 パンデミック 【影響】 操業停止・出社困難

サプライチェーンリスクは多岐にわたりますが、大きく分けて4つの主要なリスクが存在します。それぞれのリスクが企業の調達、生産、物流、販売にどのような影響を及ぼすのかを正確に把握することが、適切なリスクマネジメントの第一歩となります。ここでは、企業が直面しやすい代表的なリスクの種類について解説します。

リスクの種類 主な発生要因 サプライチェーンへの影響
自然災害リスク 地震、台風、洪水などの異常気象 工場や倉庫の損壊、交通網の寸断による物流停止
地政学的リスク 国家間の対立、紛争、貿易摩擦、経済制裁 原材料の調達困難、輸出入の制限、関税の引き上げ
サイバー・情報リスク マルウェア感染、ランサムウェア攻撃、不正アクセス 生産システムの停止、機密情報の漏えい、業務の停滞
感染症リスク パンデミック(世界的な感染爆発)、局地的な感染拡大 従業員の出社困難、ロックダウンによる工場の操業停止

自然災害によるリスク

日本は地理的な特性上、地震や台風、集中豪雨といった自然災害が発生しやすい環境にあります。これらの自然災害は、自社の拠点だけでなく、仕入先や物流網にも甚大な被害をもたらす可能性があります。自然災害によって引き起こされる具体的な影響としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 生産拠点や倉庫の物理的な損壊による操業停止
  • 道路や港湾などの交通インフラ寸断に伴う物流の遅延・停止
  • 電力や通信など社会インフラの停止による業務の中断

例えば、大規模な地震が発生した場合、工場の建屋や生産設備が損壊し、長期間にわたって操業が停止する恐れがあります。自社の被害が軽微であっても、特定の部品を供給するサプライヤーが被災することで、最終製品の生産がストップしてしまうケースは決して珍しくありません。サプライチェーンが複雑化・多層化している現代において、二次・三次サプライヤーの被災状況までを迅速に把握できる体制づくりが急務となっています。

地政学的なリスク

グローバル化が進んだ現代のサプライチェーンにおいて、地政学的なリスクは経営に直結する重大な脅威となっています。国家間の対立や紛争、予期せぬ政策変更などは、原材料の調達から製品の販売に至るまで広範囲に影響を及ぼします。

具体的には、貿易摩擦に伴う関税の引き上げや、特定の国・地域からの輸出入制限などが挙げられます。これにより、これまで安定して調達できていた重要な原材料や電子部品が突然入手困難になったり、調達コストが急激に高騰したりする事態が発生します。経済産業省などが各種白書で警鐘を鳴らしているように、特定の国や地域への過度な依存は事業継続における重大な脆弱性となります。海外に製造拠点や調達網を持つ企業にとって、各国の政治経済情勢を常に注視し、サプライチェーンの分断に備えることは不可欠です。

サイバー攻撃や情報漏えいのリスク

企業のデジタル化が推進され、サプライチェーン全体がネットワークで密接につながる中、サイバー攻撃の脅威は急速に高まっています。特に近年は、セキュリティ対策が手薄な関連企業や取引先を踏み台にして、ターゲットとなる大企業へ侵入する「サプライチェーン攻撃」が増加傾向にあります。

ランサムウェアなどのマルウェアに感染すると、基幹システムや生産管理システムがダウンし、工場での製造や物流センターでの出荷業務が完全に停止してしまうリスクがあります。また、顧客の個人情報や製品の設計図といった機密情報が漏えいした場合、企業の社会的信用の失墜や多額の損害賠償につながる恐れもあります。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が継続的に注意喚起を行っている通り、自社単独の対策にとどまらず、サプライチェーン全体でのセキュリティ水準の底上げが求められています。

パンデミックなどの感染症リスク

未知の感染症が世界的に拡大するパンデミックは、サプライチェーンに破壊的な影響を与えるリスクの一つです。感染症が拡大した場合、各国の政府によるロックダウン(都市封鎖)や厳格な移動制限が実施され、経済活動が強制的に停止する可能性があります。

感染症リスクが顕在化すると、工場で働く従業員の確保が困難になり、大幅な減産や操業停止を余儀なくされます。さらに、港湾や空港での荷役作業が停滞し、国際物流が深刻な混乱に陥ることで、世界的なコンテナ不足や輸送運賃の高騰を引き起こします。いつどこで発生するか予測が難しい感染症に対しては、特定の地域やサプライヤーに依存しない柔軟な供給体制の構築が不可欠です。有事の際にも迅速に代替手段へ切り替えられるよう、平時から調達網の分散化を図ることが重要になります。

企業におけるサプライチェーンリスクの顕在化事例

企業におけるサプライチェーンリスクの顕在化事例 環境・地政学・社会要因 自然災害, 感染症, 紛争など サプライヤーA 特定の地域 / 単一依存 部品供給の途絶 サイバー攻撃 ランサムウェア感染など サプライヤーB セキュリティ対策が手薄 (踏み台として侵入) システムダウン波及 大元のメーカー 工場稼働ストップ 出荷遅延 / 業績悪化 顧客・市場への影響 一箇所の弱点がサプライチェーン全体の事業継続を脅かす

サプライチェーンのグローバル化や複雑化が進む現代において、ひとつの拠点で発生したトラブルが連鎖的に全体へ波及するリスクが高まっています。ここでは、企業において実際にサプライチェーンリスクが顕在化した代表的な事例を解説します。

部品供給の途絶による生産停止

自然災害や感染症のパンデミック、地政学的な要因などにより、特定の地域からの部品供給が途絶え、結果として自社の生産ラインが停止に追い込まれる事例が頻発しています。特定の国や地域、あるいは単一のサプライヤーに依存した調達体制を構築している場合、その拠点が機能不全に陥ると代替品の確保が困難になり、事業継続に深刻な影響を及ぼします。

例えば、大規模な地震や洪水などの自然災害が発生した際、現地の部品工場が被災して操業停止となるケースがあります。また、感染症の世界的流行に伴うロックダウンや物流網の混乱により、海外から調達していた半導体や電子部品が国内に届かなくなり、自動車メーカーや電子機器メーカーが長期間の工場稼働停止を余儀なくされた事例は記憶に新しいでしょう。経済産業省の資料などでも、サプライチェーンの寸断が実体経済や企業活動に与える影響の大きさが指摘されています。

部品供給の途絶を引き起こす主な要因と、それによる企業への影響は以下の通りです。

要因の分類 具体的な事象 企業への主な影響
環境的要因 地震、台風、洪水などの大規模な自然災害 工場の被災による生産設備の損壊、物流網の寸断による納品遅延
地政学的要因 国家間の紛争、経済制裁、輸出入規制の強化 特定の原材料や部品の調達困難、関税引き上げによるコスト高騰
経済・社会要因 感染症のパンデミック、港湾ストライキ、労働力不足 都市封鎖による工場稼働停止、国際物流の停滞とリードタイムの長期化

サイバー攻撃によるシステムダウンと出荷遅延

近年、急速に脅威を増しているのが、サイバー攻撃によるサプライチェーンの寸断です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している情報セキュリティ10大脅威においても、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」は常に上位にランクインしており、組織にとって極めて深刻な課題となっています。

標的となる大企業は強固なセキュリティ対策を講じていることが多いため、攻撃者は相対的にセキュリティ対策が手薄な関連会社や取引先を踏み台にして侵入を試みます。実際に起きた事例として、ある国内メーカーの部品サプライヤーがランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染し、社内システムやサーバーが暗号化されて使用不能に陥ったケースがあります。

この事態により、サプライヤー側での受発注業務や生産管理が完全に停止しました。その結果、大元のメーカーへ必要な部品を期日通りに納入できなくなり、メーカー側も国内工場の稼働を数日間にわたって停止せざるを得なくなりました。最終的に製品の出荷遅延が発生し、数十億円規模の機会損失が生じるなど、一社のセキュリティインシデントがサプライチェーン全体を巻き込む甚大な被害へと発展しています。

サイバー攻撃がサプライチェーン全体に波及する一般的なプロセスは以下のようになります。

  1. セキュリティ対策が比較的脆弱な中小規模のサプライヤーや委託先がサイバー攻撃を受ける
  2. サプライヤーの生産管理システムや受発注システムがダウンし、業務が停止する
  3. 大元のメーカーへ部品や原材料の供給ができなくなり、メーカーの工場稼働がストップする
  4. 最終製品の製造が滞り、顧客への出荷遅延や大規模な業績悪化を引き起こす

このように、自社の対策だけを強化しても、取引先を含めたサプライチェーンのどこか一箇所に弱点があれば、事業全体が脅かされるのが現代のリスクの特徴です。そのため、自社のみならずサプライチェーン全体を俯瞰した状況把握と、迅速な情報共有が可能な基盤づくりが強く求められています。

サプライチェーンリスクに対する企業の対策方法

サプライチェーンリスクに対する3つの対策 サプライチェーン の強靭化 1. 全体の可視化と 情報共有 サイロ化解消・データ一元管理 2. 調達先の多角化と 代替ルート確保 複数地域・物流の複線化 3. 事業継続計画(BCP) の策定と見直し 重要業務特定・定期的な訓練

サプライチェーンリスクが顕在化した場合、企業の事業継続や社会的信用に深刻な影響を及ぼす可能性があります。リスクを完全にゼロにすることは困難ですが、事前に対策を講じることで被害を最小限に抑えることは十分に可能です。ここでは、企業が取り組むべき具体的な対策方法について解説します。

サプライチェーン全体の可視化と情報共有

サプライチェーンリスクを管理するための第一歩は、サプライチェーン全体の可視化と迅速な情報共有です。多くの企業では、部門ごとにシステムが独立して稼働していたり、Excelを用いた手作業でのデータ管理が常態化していたりします。このような状態では、調達、製造、物流、販売といった各プロセスで発生している事象をリアルタイムに把握することが困難です。

リスクの兆候を早期に察知し、影響範囲を正確に特定するためには、部門間のサイロ化を解消し、データを一元管理する仕組みが不可欠です。全社的な情報共有基盤を構築することで、特定の部品の納入遅延が発生した際にも、生産計画への影響や在庫状況を即座に確認し、代替策を迅速に講じることが可能になります。また、自社内だけでなく、主要な取引先とも適切な範囲で情報を連携できる体制を整えることが、サプライチェーン全体の強靭化に繋がります。

調達先の多角化と代替ルートの確保

特定の地域や単一のサプライヤーに依存した調達体制は、自然災害や地政学的リスクが顕在化した際に、部品供給の途絶という致命的な事態を招きかねません。そのため、調達先の多角化と代替ルートの確保は重要なリスクヘッジとなります。

具体的な取り組みとしては、以下のような方法が挙げられます。

  • 国内外の複数地域にまたがるサプライヤーの開拓
  • 主要部品における代替品の事前検証と承認
  • 物流ルートの複線化(航空便、船便、陸路の組み合わせ)
  • 安全在庫の適正な積み増しと拠点の分散

調達先を分散させることで、一つの供給網が機能不全に陥った場合でも、他のルートから必要なリソースを確保できるようになります。ただし、調達先や物流ルートが増えることで管理が煩雑になるため、各拠点の調達状況や在庫水準を統合的にモニタリングできる体制を併せて整えることが求められます。

事業継続計画の策定と定期的な見直し

不測の事態が発生した際に、中核となる事業を維持し、早期復旧を図るためには、事業継続計画(BCP)の策定が欠かせません。中小企業庁が提供する中小企業BCP策定運用指針などでも、緊急時における従業員の安全確保と事業継続の重要性が提唱されています。

BCPを実効性のあるものにするためには、単なる防災マニュアルにとどまらず、事業への影響を最小限に抑えるための具体的な手順を定める必要があります。一般的なBCP策定のステップは以下の通りです。

ステップ 実施内容 目的
1. 重要業務の特定 企業の存続に関わる中核事業や、停止により顧客への影響が大きい業務を洗い出す 限られたリソースを優先的に割り当てる対象を明確にするため
2. リスク評価と影響分析 自然災害やサイバー攻撃など、想定されるリスクが重要業務に与える影響を分析する リスクの深刻度を把握し、対策の優先度を決定するため
3. 目標復旧時間(RTO)の設定 重要業務をいつまでに復旧させるかの目標時間を定める 代替手段の確保やシステム復旧の要件を定義するため
4. 計画の策定と定期的な訓練 具体的な行動手順を文書化し、定期的なシミュレーションを通じて実効性を検証する 有事の際に従業員が迷わず迅速に行動できるようにするため

また、BCPは一度策定して終わりではありません。事業環境の変化や新たな脅威に合わせて、定期的な訓練を実施し、計画を継続的に見直すことが重要です。有事の際にシステムがダウンした場合のデータバックアップ体制や、老朽化したシステムからの早期復旧手順なども、現代のBCPにおいては極めて重要な構成要素となります。

サプライチェーンリスク管理にERPが求められる理由

サプライチェーンリスク管理にERPが求められる3つの理由 ERP (統合基幹業務システム) 1. リアルタイムな状況把握 全社データの一元管理により、 異常発生時の影響範囲特定と初動を迅速化 2. 部門間のサイロ化解消 調達・製造・営業・財務が同じ基盤で連携し、 全社横断的な迅速な意思決定を実現 3. 老朽化システムからの脱却 最新クラウド環境への刷新により、 サイバー攻撃へのセキュリティと強靭性を向上

サプライチェーンリスクが多様化・複雑化する現代において、企業が安定した事業継続を図るためには、迅速かつ的確な状況把握と意思決定が不可欠です。ここでは、サプライチェーンリスクの管理において、なぜERP(統合基幹業務システム)の導入や刷新が強く求められているのか、その具体的な理由を解説します。

全社最適化によるリアルタイムな状況把握

自然災害や地政学的な問題などによりサプライチェーンリスクが顕在化した際、自社の被害状況や在庫状況、代替品の調達可能性などを瞬時に把握することが初動対応の鍵となります。

しかし、会計パッケージを中心としつつ、部門ごとに独立したシステムやExcelが乱立している環境では、データの集約に多大な手間と時間がかかります。結果として、経営層が正確な状況を把握するまでにタイムラグが生じ、対応が遅れてしまうケースが少なくありません。

ERPを導入することで、調達から生産、販売、財務に至るまでのあらゆる業務データが一元管理されます。これにより、経営層や部門責任者はサプライチェーン全体の状況をリアルタイムで把握できるようになります。異常が発生した際にも、影響範囲を即座に特定し、迅速な対策を講じることが可能です。

比較項目 従来のシステム環境 ERP導入後の環境
データ管理 部門ごとに分散し、手作業での集計が必要 全社共通のデータベースで一元管理
状況把握のスピード 情報の集約に時間がかかり初動が遅れる リアルタイムに全体状況を可視化
リスク対応力 影響範囲の特定が困難で後手になりがち 影響を即座に特定し先手で対策可能

部門間のサイロ化解消と迅速な意思決定

サプライチェーンリスクへの対応には、部門を横断した緊密な連携が欠かせません。たとえば、特定の部品供給が途絶えた場合、以下のように全社的な対応が求められます。

  • 調達部門:代替ルートの確保や新規サプライヤーの開拓
  • 製造部門:部品不足に伴う生産計画の柔軟な変更
  • 営業部門:顧客への迅速な状況説明と納期調整
  • 財務部門:売上減少やコスト増加に伴う資金繰りへの影響評価

従来の部門最適化されたシステム環境では、データがサイロ化(孤立化)しており、部門間でのスムーズな情報共有が困難です。ERPを活用して全社共通の基盤を構築することで、部門間の壁を取り払い、同じデータをリアルタイムで参照しながら議論できるようになります。これにより、意思決定のスピードが飛躍的に向上し、リスク発生時の被害を最小限に食い止めることにつながります。

老朽化したシステムからの脱却と強靭化

長年運用してきたオンプレミス型のERPや、過度なアドオン(追加開発)を繰り返したシステムは、老朽化と複雑化が進み、いわゆる「レガシーシステム」となっているケースが多く見受けられます。こうしたシステムは、最新のサイバー攻撃に対する脆弱性が高く、システムダウンによる業務停止リスクを常に抱えています。また、保守が属人化しているため、トラブル時の復旧に膨大な時間とコストがかかる点も大きな課題です。

経済産業省が公表しているDXレポートでも、老朽化したシステムが企業の競争力低下や経済損失を招くリスクが指摘されており、システム刷新の重要性が提唱されています。

最新のクラウド型ERPなどへ刷新することで、高度なセキュリティ対策が適用され、サイバー攻撃や情報漏えいといったサプライチェーンリスクに対する強靭化を図ることができます。さらに、常に最新の機能やセキュリティパッチが提供されるため、変化の激しいビジネス環境や新たな脅威に対しても柔軟に対応できる基盤が整います。

サプライチェーンリスクに関するよくある質問

サプライチェーンリスクとは何ですか?

サプライチェーンリスクとは、製品の原材料調達から消費者に届くまでの供給網において、企業の事業継続を脅かす様々な危険性のことです。

サプライチェーンリスクにはどのような種類がありますか?

主に地震や台風などの自然災害、国際情勢の変化による地政学的要因、サイバー攻撃、パンデミックなどの感染症によるリスクが挙げられます。

サプライチェーンリスクを管理するにはどうすればよいですか?

サプライチェーン全体の可視化、調達先の多角化や代替ルートの確保、そして事業継続計画の策定と定期的な見直しを行うことが重要です。

サプライチェーンリスク対策にERPは必要ですか?

はい、全社的な情報をリアルタイムで把握し、部門間の連携を強化して迅速な意思決定を行うためにERPの活用は非常に有効です。

サプライチェーンの可視化はどのように進めればよいですか?

まずは社内の各部門に散在するデータを一元管理できるシステムを導入し、リアルタイムな情報共有の基盤を構築することから始めます。

まとめ

本記事では、サプライチェーンリスクの種類や事例、企業の対策方法について解説しました。自然災害やサイバー攻撃など、多様化するリスクに適切に対応するためには、サプライチェーン全体の可視化と迅速な状況把握が不可欠です。その解決策として、全社最適化によるリアルタイムな情報把握と、部門間のサイロ化を解消できるERPの導入が強く求められています。老朽化したシステムから脱却し、強靭な供給網を構築するために、まずは自社の課題解決につながるERPについての情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

 

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