この記事で分かること
- SAP ECCの概要とバージョン
- SAP ECCとSAP S/4HANAの違い
- ECCと比較したSAP S/4HANAのメリット
- SAP S/4HANAへ移行する際のポイント
SAP ECCは長年にわたり、多くの企業が採用するERPシステムとして機能してきました。しかし、技術が進化し、現在では次世代ERPシステムであるSAP S/4HANAへの移行が推奨されています。
SAP S/4HANAは、SAP ECCと比べて高速なデータ処理能力とリアルタイムの分析機能を提供するソリューションです。この記事では、SAP ECCとSAP S/4HANAの違いや、移行する際のポイントについて詳しく解説します。
SAP ECCとは
SAP ECCとは「SAP ERP Central Component」の略称で、SAP社が提供するERPソフトウェアです。SAP ECCは1990年代後半から2000年代初頭にかけて普及し、これまで世界のさまざまな企業で利用されてきました。
また、財務、物流、人事、製造、販売を含む広範なビジネスプロセスをサポートするソリューションであり、業務プロセスの標準化や最適化、データの一元化などが進められています。SAP ECCは、自社でサーバーやデータセンターを用意するオンプレミス型で導入されるのが一般的です。
SAP ECCの主なバージョン
SAP ECCの主なバージョンには、以下の種類があります。
- ECC 5.0
- ECC 6.0
SAP ECC 5.0は2004年に登場したバージョンで、その後継として「SAP ECC 6.0」があります。ECC 6.0では、従来の機能を引き継ぎながら機能の拡張や改善が行われています。
また、ECC 6.0は業務に合わせて機能を自由にカスタマイズできる点が特徴です。自社に合わせて最適なシステムを構築できる点が評価されています。
なお、SAP ECCの後継にあたるERP製品として「SAP S/4HANA」があります。SAP S/4HANAはデータ処理の速度向上やクラウドへの対応など、より進化した製品としてリリースされています。
SAP ECCのサポート期限
SAP ECC 6.0のEHP6~8は、2027年末にメインストリームメンテナンスが終了する予定です。サポート終了によって多くの企業に影響が出ることから、「SAP2027年問題」と呼ばれることもあります。
その後、希望する企業向けには2030年末まで延長保守が提供されます。SAP ECCを利用している企業は、サポート期限を考慮し、SAP S/4HANAへの移行など今後の対応を早めに検討することが大切です。
SAP ECCとSAP S/4 HANAの違い
SAP ECCからの移行先として推奨されているのがSAP S/4HANAです。SAP S/4 HANAとは、SAP社によって開発された次世代のERPソフトウェアです。操作性に優れる「SAP Fioriユーザーインターフェース」が採用されており、直感的で使いやすい画面デザインとなっています。
また、データ分析も強化され、企業の意思決定を支援するためのリアルタイムなデータ分析とレポート作成が可能です。さらに、高度なセキュリティ機能を備えており、データ保護とコンプライアンスを強化できます。
SAP ECCとSAP S/4 HANAでは、それぞれ以下のような違いがあります。
| 比較項目 | SAP ECC | SAP S/4HANA |
|---|---|---|
| 位置づけ | 従来のSAP ERPの中核を担うシステム | SAP ECCの後継となる次世代ERP |
| データベース | SAP HANAを含む複数のデータベースを利用可能 | SAP HANAを使用 |
| データ構造 | 従来型の複雑なデータ構造 | データモデルを簡素化 |
| データ処理 | 従来型の処理方式 | SAP HANAを活用した高速なデータ処理が可能 |
| ユーザーインターフェース | SAP GUIが中心 | SAP Fioriによる直感的な操作に対応 |
| 分析 | 集計・分析のために別途処理が必要になる場合がある | リアルタイムに近いデータ分析に対応 |
| 今後の位置づけ | S/4HANAへの移行が進められている | SAPが提供する現在の主力ERP製品 |
ECCと比較した際のS/4 HANAのメリット
「ECC」と「SAP S/4HANA」のメリットを比較すると、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | SAP ECC | SAP S/4HANA |
|---|---|---|
| データ処理 | 複数のデータベースに対応しており、処理性能は利用するDBやシステム構成に左右される | SAP HANAを前提とし、インメモリ・カラム型DBによる高速なデータ処理が可能 |
| 導入形態 | オンプレミスでの利用が基本 | オンプレミスとクラウドの両方に対応し、ニーズに応じて選択できる |
| 最新技術・イノベーション | 従来のERP機能を中心に利用 | クラウドでは継続的に提供される新機能を取り入れやすく、AIなどの最新技術も活用しやすい |
高速データ処理が可能になる
SAP S/4HANAは、SAP HANAをデータベース基盤として採用しており、高速なデータ処理が可能です。全社横断で大量のデータを扱うSAPシステムでも、リアルタイムに高速なデータ処理を可能にしています。
データの処理が高速化することにより、業務の効率化が期待できます。また、情報管理やデータ連携にかかる人的コストの削減も期待できるでしょう。
クラウド・オンプレミスの選択が可能になる
SAP S/4HANAは、クラウド環境で「SAP S/4HANA Cloud」を利用できます。オンプレミス環境の準備が難しい企業にとっても導入しやすいでしょう。
また、企業のニーズに応じてハイブリッドクラウドソリューションもサポートしています。 クラウド環境を選択することで、インフラ構築にかかる初期費用を抑えられる場合もあります。
システムの運用負担を軽減できる
クラウド環境を利用することで、最新バージョンのERPを利用しやすくなります。システムアップデートや改善などを定期的に受けられる環境を構築できる点もメリットです。
オンプレミスの場合は自社で運用を行う必要があり、システムを運用や保守できる人材も必要になります。クラウド環境であれば、システム運用の負担を軽減しつつ、最新のシステム状況を保つことが可能です。
SAP ECCユーザーがSAP S/4 HANAへ移行する際のポイント
サポート期限の満了が近いSAP ECCを利用している企業は、SAP S/4 HANAへの移行を検討する必要があります。移行におけるポイントは以下のとおりです。
自社のシステム全体を考慮する
SAP S/4HANAへ移行する際は、自社のシステム全体を考慮することが大切です。移行により、業務プロセスや方針にどのような影響があるかを考えましょう。
また、移行に伴い業務プロセスをシンプルにするのも一つです。SAP S/4HANAを基準にし、業務を最適化することができれば、より効率化を実現できます。
データを活用できる施策を検討する
SAP S/4HANAはデータ構造をシンプル化させることで、より高度なデータ分析が可能になります。集めたデータを活用できる施策を検討してみると良いでしょう。
集められるデータには、製造や販売、財務などあらゆるデータがそろっています。データドリブン経営の実践やDXの推進など、新しい施策に活用してみてください。
実行しやすい移行方法を選択する
移行する際は、実行しやすい方法を選びましょう。大きく分けて3つの選択肢があります。
- ブラウンフィールド:利用中のSAP ECCの設定、アドオン、データをそのままSAP S/4 HANAへ移行する
- グリーンフィールド:現行のシステムにとらわれず、ゼロベースで新しいシステムとして再構築する
- 選択データ移行:固有の移行要件がある場合、個別に対応を行う
例えば、新たに業務プロセスを見直す場合や既存アドオンの削減を行う場合は、新規構築となるグリーンフィールドが適しています。既存の設定やデータなどをできるだけ引き継ぎたい場合は、ブラウンフィールドが選択肢になります。
一からすべて再構築する必要はないものの、一部企業固有の要件がある場合は、選択データ移行を選ぶと良いでしょう。
SAP ECCに関するよくある質問
SAP ECCのサポートはいつ終了しますか?
SAP ECCのサポートは2027年末に終了します。現在利用している場合は、SAP S/4HANAなど他システムへの移行を検討する必要があります。
SAP ECCからSAP S/4HANAへの移行にはどのような方法がありますか?
SAP ECCからSAP S/4HANAへの移行には、以下のような方法があります。
- ブラウンフィールド:利用中のSAP ECCの設定、アドオン、データをそのままSAP S/4 HANAへ移行する
- グリーンフィールド:現行のシステムにとらわれず、ゼロベースで新しいシステムとして再構築する
- 選択データ移行:固有の移行要件がある場合、個別に対応を行う
まとめ
SAP ECCは、長年にわたり多くの企業で利用されてきたERPソフトウェアです。SAP ECC 6.0のEHP6~8は2027年末にメインストリームメンテナンスが終了する予定であり、SAP S/4HANAへの移行など今後の対応を検討する必要があります。
SAP S/4HANAは、SAP HANAをデータベース基盤として採用しており、高速なデータ処理やリアルタイムに近いデータ分析が可能です。また、クラウドにも対応しているため、企業のニーズに応じた導入形態を選択できます。
SAP ECCからSAP S/4HANAへ移行する際は、既存システムや業務プロセスを整理したうえで、自社に適した移行方法を選ぶことが大切です。サポート期限も考慮しながら、計画的に移行の準備を進めましょう。
AIクラウドERP導入ガイド編集部
クラウドERPや基幹システムに関する最新動向を整理し、導入を検討している企業様に向けて、選定基準やメリット、失敗しないためのポイントを分かりやすく解説しています。
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